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12/13 コモンズフェスタ2015「母と娘の幕の内~そんなこんなMother&Daughter」を開催いたしました

12月13日應典院研修室Bで、「幕の内弁当」を頂きながら、母と子の「幕の内」の暗幕の中を探るという趣旨のプログラム「母と娘の幕の内~そんなこんなMother&Daughter~」
として開催致しました。

「毒母」や「母源病」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?近年、嫁姑問題よりも実母と娘の関係性について、「母に自分の人生をコントロールされているようで辛い」という娘側の立場の方からの問題提起の本がたくさん出版されるようになりました。

それらの問題の所在や原因を専門家から学ぶというよりも、この問題の当事者として、それらの状況がどのように生まれ、どう移行し、今、どう感じていらっしゃるかを聞いた後、参加者とともに一緒に考えるというプログラムとしました。ゲストに「共存共生共依存の会」の南部紀子さんに名古屋よりお越しいただき、聞き手にNPOそーねの一ノ瀬かおるさん、應典院寺町倶楽部の齋藤佳津子が担当し、母側からみた、また娘さんからのお便りも紹介してもらって「母娘の当事者」としての像をより深く考える時間となりました。

娘さんの自傷行為や自殺未遂を通じて、母としてのあり方を考えられてきた南部紀子さんのテンポの良い語りとプレゼンテーションにみなさん頷きつつ、共存共生共依存の会のソーシャルワーカーの高山さんによる「当事者研究」の手法を体験。「向き合うんじゃなくて、机の前に問題を置いて、それをみんなで見ながら研究する。」手段を使い、「イライラ爆発型」や「口先りばし型」などの母としての自己特性を解き明かしつつ、それらを俯瞰することでの解決の方法などを探りました。

とても印象深かったのは、「問題は何も解決していないけど、視点をずらすことで、気持ちが軽くなることもある」、「娘のためと思って行ったことで一つも良いものは無かった」とされる南部さんの口から生まれてくる名言の数々。また、「(母娘)向き合っちゃダメなんですよ!」という言葉も衝撃的でした。

最後に木村大治さん(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科准教授・人類学専攻)の「共在」というキーワードを應典院より紹介しました。

木村さんは「共在」という言葉について、以下のように述べていらっしゃいます。

「共存」とか「共生」という言葉は、かなり理想化されています。そういう美しいコミュニケーションもあるけれど、人と人が一緒にいる限り、いがみ合いもすれば、無視し合うこともある。そういう関係も含んだうえでの「一緒にいる」という感覚。それぞれの人たちの、それぞれのコミュニケーションの形があるはずで、それを、共存、共生と は別に「共在」と呼んだのです。

この「共在」というキーワードを元にこれからの母娘のあり方―もしかすると、母娘だけでなく、異なるものを持った人と人が暮らしていくための大いなる知恵かもしれません―を一つ提示した形でプログラムを終了させていただきました。