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1/11 コモンズフェスタ2016「少年Aと大人B~匿名・有名・無名な〈あなた〉と語る~」を開催いたしました。

成人の日となった1月11日、コモンズフェスタ2016の一環として「少年Aと大人B~匿名・有名・無名な〈あなた〉と語る~」と題した企画を催しました。7人の少年にまつわる死と生を1時間ごとに取り扱うというワークショップでした。正午から19時までという長丁場ということもあり、体力や集中力が持つのか、といった不安を抱きながら参加された方もおられました。当日は50分ごとに10分の休憩を入れ、高さ7mの應典院の本堂ホールの天井から床に投影された写真や映像をもとに、それぞれが感想や意見を語り合いました。
この企画は2015年6月の「元少年A」による手記『舌歌』出版が背景にありました。1997年の事件当時と同じく、同書には大きな反響を呼びました。本人を知らなくても人は語る、の考えのもと、進行役により1940年代から2000年代まで、その時代を象徴する7人が選定されました。彼らの人生を手がかりに、大人になることの意味を見つめなおす7時間でした。

一風変わった語りの場のために、9つのルールが定められました。順に、1) 自分の名前を語る必要はありません。2) 自分の所属を明かす必要もありません、3) 他人の名前や所属を聞き出してはなりません、4) 知らないことを知ってるふりをしてはいけません、5) 知らないことは自分で調べてみましょう、6) わからないことは他人に尋ねてみましょう、7) 事実と感想と意見を区別して語りましょう、8) 相手の発言を妨げないようにしましょう、9) この場は出入り自由、の9つです。

ちなみに取り上げた7人とそれぞれの背景は「中森明菜さん少女A発売」(1982)、「元少年Aによる神戸連続児童殺傷事件」(1997)、「ジョー・オダネル軍曹が撮影した焼き場に立つ少年」(1945)、「学僧・林承賢師による金閣寺放火事件」(1950)、「フィリピン・ルバング島からの小野田寛郎少尉の帰還」(1974)、「新潟県中越地震での皆川優太ちゃん救出」(2004)、「自殺後に遺族によって日記が出版された高野悦子さん」(1969)という具合でした。それぞれの事件や事故などを知らない人も、手持ちのスマートフォンなどで調べながら、印象や疑問を語り合いました。

いわゆるハッピーマンデーが導入されるまでは、小正月にあわせて元服の儀式が執り行われていたことにちなみ、成人の日は1月15日とされていました。一方で、今年もまた、「荒れた成人式」のニュースが飛び交い、大人になるとは何なのかに問いを抱いた人もおられたのではないでしょうか。そんな成人の日、改めて、過去に何らかのかたちでニュース等に取り上げられた自分の生き方や死に方から、今の時代の生き抜き方が語り合われました。7時間、最初から最後まで通しで参加された方は2名に留まりましたが、出入り自由な語りの場では、それぞれに知らないことを知り、わからないことを深めるときとなりました。