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1/16 コモンズフェスタ2016「懐徳的イスラーム~問いを問い直し教えに迫る6時間~」を開催いたしました。

去る1月16日、コモンズフェスタの1企画として、イスラーム(イスラムの教えに基づく信仰と社会生活の全て)について語り合うワークショップ「懐徳的イスラーム」を開催いたしました。ゲストにはイスラム法学者である中田考先生と、社会学の視点から現代イスラム地域研究に取り組んでいる内藤正典先生にお越しいただきました。また、運営は、4月から読書会と新聞の乱読を一緒に取り組んできたNPO「そーね」の皆さんの参画を得ました。お二人のゲストから専門家としてのお話を伺うだけでなく、国家のあり方や社会制度全般に対して参加者とともに関心を向けるにあたり、かつて大阪に存在した町人の学び舎「懐徳堂」 が、教科書や先生から学ぶ近代的な学校とは異なり、文字通り「徳を懐う(おもう)」学び合いの場であったことに着目して、企画名を「懐徳的イスラーム」といたしました。

6時間のトーク企画ということもあり、当日は5つの枠組みで対話が進められました。まずは「そーね」の皆さんから、『イスラーム概説』(書肆心水)の読書会の取り組み報告として、【なぜ、どのようにして広まったか?】【なぜ、どのようにして広まったか?】【人権・女性】【一神教・多神教・偶像】【神の法、人の法】【国際関係】【世俗化】【どう付き合えば良いのか】【仏教と比較】などの観点から、改めて深めたい問いが示されました。続いて、これらの問いに中田先生が丁寧に解説が重ねられ、それらの内容は一ノ瀬かおるさん(そーね)によってホワイトボードに写し取られていきました。その後、少々の休憩が入った後で、中田先生と内藤先生の対談が行われました。

中田先生の内藤先生の対談をはじめ、当日の様子は應典院のTwitterで中継させていただき、時系列での一覧は http://twilog.org/outenin/date-160116 で参照いただけます。中田先生と内藤先生の対談の後は、偶数月の3日に應典院で実施されてきた「まわしよみイスラーム」の手法にのっとり、昨今の新聞記事を手がかりに、小グループでの意見交換を行いました。2012年度のコモンズフェスタで生まれた「まわしよみ新聞」が、時を経て、このように発展するとは、良い意味での想定外の展開と位置づけられるでしょう。そして最後は本堂ホールに椅子席ながら車座となった参加者全員にマイクが回され、一言ずつ言葉を重ね、6時間の企画の大団円となりました。

2008年度以降、秋から冬へと開催時期を変えて以降、コモンズフェスタは應典院寺町倶楽部が年間を通して接近してきたテーマの集大成とする場として位置づいてきています。特に2011年度以降は、事務局主導の企画運営から実行委員会形式に原点回帰を図ったこともあって、文字通り、1年を通して場をつくりあげていく、という性格が強くなりました。2015年度には、釈徹宗先生のもとで仏教等の勉強会を重ねる NPO「そーね」との連携・協力のもと、イスラームについて掘り下げていく場を設けたこともあって今回の企画が組み立てられたのですが、企画の終了後、2月と3月にかけて、今後の取り組みをどうするかの検討を重ねることといたしました。無論、今回の企画で、イスラームの全てを掘り下げたとは言い切れず、何よりこれからも一層、問いを深めていく必要がありますので、引き続き、皆さんの関心をお寄せいただければ幸いです。