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10/20 西宮今津高校のみなさんが校外学習で来訪されました。

去る10月17日、西宮市の浜甲子園にあります兵庫県立西宮今津高校の2年生の21名の皆様が、應典院に校外学習にお越しになられました。同校では3年間に渡って「社会課題を学び、自らが問いを立て、解決を考える人になろう」という目的のもと、2年次では、「総合的な学習の時間」の授業を通して、自己の課題(研究テーマ)を探し、問題意識・発想力の涵養を目的として、校外学習を実施されています。

今回のテーマは「子ども・アート・死生観」ということで、應典院寺町倶楽部で取り組んできた「キッズ・ミート・アート」や「コモンズフェスタ」の取り組みなどを中心に、動画や写真を紹介しながら、小さな頃から<死から生を見つめること>の意味を考えるワークショップを行いました。

丁度、半世紀前の1966年には67万人余りだった死者の数が、現在はどのような変遷をたどっているのか確認し、2025年には倍以上の人数の多死社会が到来する未来を見つめました。また、子どもたちの出生数が200万人で推移していたその当時に比べて、今は約半数になってきていることなど、現代の社会課題である「少子高齢化社会」について、実際の数字を挙げてクイズ形式で答えてもらうなどの時間を過ごしました。

その後、應典院の様々な取り組みの写真等を見てもらった後、いろいろと生徒さんの意見を聴くと、生前に個人で決定するお墓「自然(じねん)」や、幼稚園の砂場で行った、何十年あとの自分や来世を考えるワークショップのことが気になる様子。思い切って後半は、「死んだらどうなると思うのか」「生まれ変わりはあるのか」「お墓のことはどうするのか」など、「死」というテーマについて、対話やワークショップの時間を持ちました。

生徒さんの感想を後日送っていただいたのですが、改めていろいろな気づきがありました。

・死について何度か考えたことはあったけれど、人の考えを共有することはなかったので新鮮だった。
・お昼休憩の時、お墓の方や鐘のところにも行ったけど、日本人ってすごいなあーと改めて思った。こうやって、いろいろな寺や神社を知っていくことも若い人たちには必要で、ずっとこういう伝統であったり、昔から続いているものが受け継がれていければいいなと思った。
・今まで、話し合ったりすることがなかった寺・死について考えたりすることができて良かった。
・死から生を考えるということをはじめて知った。
・自分の世界観を壊すことの大切さを知りました。私は美術などで作品を創っているので、そのようなことを作品に取り入れたいと思った。
・幼稚園のすぐ横にお墓があるというのが、衝撃的で生と死が隣り合っているような感じがした。お寺は死とか修行とかいうイメージが強かったけど、子どもとともに大人も楽しめるアートがあって明るい場所なんだと思った。
・来世があるのか、神はいるのかを考えていたら、それは本当に答えなんかなく、ただ、自分が死なないと分からない。すごく興味深く思いました。
・教育、福祉、文化の拠点ともされていて、地域との交流があってすごいなぁと思いました。見えないものを大切にし、常識に問わられない、自分の気持ちを大切にしていけるお寺でした。

これからも地域の高校生のみなさんと、死や生を感じたり、考えたりできる場であり続けられるような活動を継続していくために、我々の活動の場には、何が足りないのかを考えていく必要があることも感じました。また、「死生観」を子どもたちや若者と考え、見えないものを捉えるアートの活動をすることで、「自らの生」について、しっかりと考え、対話する文化を根付かせていきたいと感じた一日でした。