イメージ画像

1/28 コモンズフェスタ2017 第69回寺子屋トーク「〈いのち〉に触れる道~信じる仏教から生きる仏教へ~」を開催いたしました。

1月28日(土)、コモンズフェスタ2017の一環として、第69回寺子屋トーク「〈いのち〉に触れる道~信じる仏教から生きる仏教へ~」を開催いたしました。2016年11月に著作『教えて、お坊さん!「さとり」ってなんですか』を出版された、文筆家・「Temple」主宰の小出遥子さんをお招きし、在俗の仏教ファンとして仏教に関わり、様々な活動を通して〈いのち〉を直に生きる知恵を発信されている、小出さん独自の立ち位置についてお話を伺いました。

まず第一部の講演では、小出さんの仏教との出会い、現在の活動を中心にお話いただきました。はじめは仏像に魅力を感じ、観光寺院を中心に訪ねていたところ、ある時から「仏って一体なんだろう?」と、仏教自体にも興味を持ちはじめたそうです。仏教には自分の苦と向き合うヒントがたくさんあることを知っていく中で、実践者であるお坊さんに「さとり」について伺いはじめたことから、上記の著作が生まれたことをお話されました。
現在の主な活動としては、「いのちからはじまる話をしよう。」をテーマに、「Temple」というホームページとイベントを運営されていらっしゃいます。ホームページでは仏教にとどまらない多領域の方との、いのちをめぐる対話を記事として発信し、イベントではお寺を舞台にした対話の場を設けるなど、そうして文筆と対話を繰り返していくことが、小出さんにとっての仏道修行であると語られました。

続いて、第二部では秋田光軌(應典院主幹・應典院寺町倶楽部事務局長)が聞き手となって、小出さんの仏教との関わり方について更にお話を伺いました。まず話題にあがったのは、小出さん自身が「仏教ファン」とおっしゃっており、僧侶でも檀信徒でもない、つまり特定の宗派を信じているわけではないということの特異性でした。信仰してはいないが、熱心に仏教を学び、自身の生にリンクさせていくという、その独特のスタンスについて伺うと、小出さんからは「特定の宗派の僧侶でも檀信徒でもないことで、様々な宗派の教えをフラットに受け止めて、横断的に教えを学ぶことができる」と応答がありました。

お寺やお坊さんに期待することについては、お寺は「人が生きていくうえでの休憩場所」だとし、社会的役割から解放されて、何者でもない自分にくつろげる場だと感じているとのことでした。対話に重きを置いて活動されているのも、仏様に見守られた空間で、その場の関係性によって導かれる語りこそが、いのちのはたらきをそのまま伝えているように感じられているから。秋田光彦『葬式をしない寺―大阪・應典院の挑戦』に対する親近感についても語っていただき、應典院をはじめ、これからも多くのお寺・お坊さんとともに対話の場をひらいていければとお話されました。

当日は、寺子屋トークに何度もご登壇されている、宗教学者の釈徹宗先生も会場に来られていました。釈先生からは、小出さんの活動に共感を示されつつも、「仏教の体系においては、自分の都合がぽっきり折れてしまう体験を通して見える景色こそが重要。特定の宗派に属さない姿勢は、多くの現代人の共感を呼ぶ一方で、自分の都合を温存し、本質を見失ってしまう場合もあるのではないか」とコメントを頂戴し、議論を引き締めていただきました。

そして、最後の第三部では、実際に「Temple」のイベントでされている対話の機会をもち、それぞれにとっての〈いのち〉について、参加者同士がゆるやかに語り合いました。「Temple」での対話には、いわゆるファシリテーター役を設けず、小出さんは対話の内容に踏み入ることなく、その場の話し声や空気感を静かに共有されていました。
應典院のご本尊が見守る空間で、伝統を尊重しながら、しかし今までにない仏教との関わり方を、さまざまなかたちで分かち合う時間となりました。