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10月16日全国アートNPOフォーラム開催

毎年、文化芸術領域で活動するNPOの関係者が集まって、それぞれの課題を共有する「全国アートNPOフォーラム」が今年はここ大阪で開催されました。OCA(Osaka Community Art)!と共催で3日間にわたって行われたフォーラム最終日の会場として應典院が選ばれ、全国各地のアートNPOスタッフ、研究者、学生が集まりました。
1998年のNPO法施行以来、毎年増加し続ける、文化芸術系NPO法人の総数は、全体の約10%、4,141団体に達しています(2010年8月31日現在)。表現活動を通して、社会問題を紐解く作家やプロジェクトマネージメントの在り方に近年注目が集まる中で、それらの活動をいかに継続させるかがアートNPO共通の課題になっています。フォーラムではこれらの問題意識の共有に加えて、震災とアートそして自治といったテーマについても議論が展開されました。

第1部では、同志社大学大学院総合政策科学研究科の新川達郎先生と帝塚山大学大学院法政策研究科の中川幾郎先生をお招きして、震災が社会そしてアートにもたらした変化は何か、といった内容についてクロストークが行われました。都市型の阪神淡路大震災と、広域型の東日本大震災との比較を通して「文明史的な転換期に立っている」今、「表現を通した関係性の再構築が重要」と示されました。
途中、14時46分には、秋田住職による震災物故者へのご供養とお焼香の時間が設けられ、参加者の方々もご本尊に手を合わせられるひと時も。その後第2部では、NPOが継続的に運営を行っていくための組織基盤の強化、いわゆる「キャパシティビルディング」に関して、長年CSR活動を続けておられる、パナソニック株式会社社会文化グループ参事の金村俊治さんにお話をいただきました。ここでは、重要なポイントとして、「課題の深堀り・絞り込み」、「今考えられる最善解を求め、実行と改善を繰り返す」、「多様な視点・第三者の客観的な視点を入れる」という3点があげられました。
最後に参加者全員で円になり、総合討論へ。釜ヶ崎のおっちゃん達も交えたディスカッションの中では、開催地大阪特有の「ボトムアップ型」のNPO活動、つまり行政主導ではないアートNPO関係者の動き方に注目が集まりました。他方、それに対して、世代間のギャップ、あるいはアートという領域の中でもスタンスの違いがあること、さらには「ボトムダウン型」の波及性が必要ではないかといった提案など、より掘り下げた問題意識が投げかけられました。
フォーラム終盤、毎年恒例となっている次年度開催地立候補募集の呼びかけに応じて、颯爽と手をあげられたのは、南三陸町にて支援活動を行う仙台のアートNPO。「震災以降、全国からたくさんの支援をいただいた。次のホストは私たち」という真摯な眼差しに対して会場から喝采があがり、その熱気とともにフォーラムは幕を閉じたのでした。