イメージ画像

3/6【コモンズフェスタ】開幕いたしました!

2012年3月6日、東日本大震災から361日の今日、應典院寺町倶楽部主催によるアートとNPOの総合芸術文化祭「コモンズフェスタ2012」が開幕いたしました。1998年に始まり、2007年度以降は例年1月に開催しております恒例の事業も、今年度は3月に時期を移しました。その理由が、冒頭に記しましたとおり、東日本大震災から1年に思いを馳せよう、というメッセージを重ねることにしたためです。「総合芸術文化祭」という看板に偽りのないように、と、今回も多様な催しによって、まさに場が彩られていきます。

開会初日、木村幸恵さんの展示会場となった本堂ホールにて、大蓮寺・應典院の秋田光彦住職による追悼法要が行われました。終了後、秋田住職の講話では、「阪神・淡路大震災を経験した関西の人間として、東日本大震災に対して何かできるのでは、と、ずっと思いあぐねてきた」と前置きをした上で、「お寺の者としては、祈りの場をつくることを、ささやかだが続けていくことした」と語られました。実際、應典院では2011年4月10日に「祈りの市民集会 Pray from West」を開催し、その後、折に触れ、共に集い、共に思う、そうした機会を生んできております。そして「あの日」から1年が経とうとしている今、再び、本堂ホールに祈りの空間を生み出すことになったという次第です。

今回、本堂ホールにてインスタレーションを展開した木村幸恵さんは、透明な素材を用いて「見える/見えない」のあいだを問う作家として知られています。2011年の12月から何度か滞在し、思考と制作を重ね、今回の作品となりました。開催にあたっての木村さんのコメントは以下のとおりです。15日までの開催、どうぞ、お足を運んでいただいて、それぞれの祈りを捧げていただければとうれしく存じます。

今回、こういったお寺という空間で展覧会ができるということを大変うれしく思っています。芸術というのは、私たちがいる見える世界を越えて、あらゆる見えない存在と共生する一つの空間をつくるものだと思っています。そういう意味では、芸術と宗教的なものというのは、あらゆる存在、見えていない存在と共に生きていく道を探る祈りの場だと捉えています。
今回の作品「クリスタルキャノピー|水晶天蓋」は、昨年12月5日に展示空間の見学のために伺った際、應典院の本寺の大蓮寺の天蓋を見てインスピレーションを得たものです。生命の存在が生まれ出る生成の瞬間をイメージし、それと天蓋とが重なり合って、こういった作品となりました。鑑賞される方がそれぞれ、いろいろな捉え方ができるかと思いますが、お寺の本堂にて、森厳な祈りの空間が生み出されたとすれば、とてもうれしく思っています。

2012年3月6日 木村幸恵