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7/8 夏のエンディングセミナー2012 第一回「『納得』のサイゴ~その人らしく生きるとは~」

今年も大蓮寺・應典院 夏のエンディングセミナーが始まりました。今回は「『看取り』から地域を支える~人生の最期、誰があなたに寄り添うのか~」と題して、長年「看取り」に携わってこられた3名の専門家を講師としてお招きします。「孤立死」や「無縁死」という現状が日々の報道の中で頻繁にとりあげられる今日、それらに呼応するかのように「終活」なる現象がブームとなり、いかに自分らしい最期を迎えるか、について語られる機会が増えつつあります。そこで今年のエンディングセミナーでは、「地域」という観点からこの問題に向かいあい、日常生活を営むコミュニティーの中で最期を迎える、「つなぎ」の場、そして「看取り、看取られる」人間関係の在り方について見つめます。

第一回は山口育子さん(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)をお迎えして「『納得』のいくサイゴ~その人らしく生きるとは~」をテーマに、長年に渡り患者と医療者の対話と交流を促進されてきたCOMLに関わられる経緯や、ご自身の活動などについてお話いただくこととなりました。当日は大蓮寺の客殿を会場に、約50名の方々がご参加。講演前には、大蓮寺生前個人墓「自然」の会による第二回「自然賞」受賞団体に、COMLが選定されたことを受けて、理事長である山口さんに秋田光彦住職より賞状と活動健勝金が授与されました。

お話の中では、自らの患者体験、そしてCOML創始者の辻本好子さんの最期を看取るまでの一部始終を赤裸々にお話いただきました。ご自身も壮絶な闘病生活を送られた中で、「あなたとCOMLを動かしたいの。」という辻本さんの熱意に「この人となら真剣に生きられる」という確信をもったという山口さん。その後、辻本さんの元で「『生涯ナンバー2』に徹するナンバー2」として、COMLに携わっていかれます。親子でもない親友でもない、固くそして絶妙な人間関係を築いていかれるお二人でしたが、COML10周年にあたる2010年、辻本さんが末期がんであることが判明します。その告知に対面した山口さんに「きびしいね、わがまま言うからいっぱい支えてね。」と答える辻本さんの姿を口にされた瞬間、会場には、涙をこらえられずハンカチを取り出される方々も…。「死の瞬間、納得できるかは、どう生きるか。今の目標は自分に恥ずかしくない生き方をして、(あの世で)胸をはって辻本に会えるようにすること。」と締めくくられました。

後半の対談で秋田住職は、山口さんの看取りのご経験を受けて、「『死の受容』がプロトタイプ化してきている。『在宅』が過度に神話化されてきている。」と、在宅介護・ケアが抱える現実の厳しさにふれながらも、「このお二人だからこそ、この密な人間関係が築き得た、というのではなく、縁をつなぎあわせていくこと、つまり「結縁」が大切である。」と提示しておられました。次回は、自宅を開放して「つどい場さくらちゃん」を運営されている丸尾多重子さんに、介護の日常についてお話いただきます。