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9/15 第64回寺子屋トーク「から3.11後社会をデザインする

残暑厳しい9月となった。15日に、「〈祈り〉から3.11後社会をデザインする」の講演会とシンポジウムを開催した。講演は、哲学者の内山節さん。最近、「コミュニティ原論」という本を上梓されたばかりだ。
内山さんは講演で、日本の伝統的なコミュニティは生きている人間だけで構成される西欧社会と違い、構成員に自然と死者が入るとし、その意思を反映するために。絶えざる祈りや願いがあったと言われた。また、合理の奥に不合理なものが潜んでいるのであって、合理的な社会は非合理なものを信じることで成り立っている。非合理なものを直視する社会をつくりなおさなくてはならないと、言明した。前出の本の中でも、「復興は土木的でなく、文学的になされなくてはならない」と記述されている通りだ。

3.11以後、非合理の復権が著しい。内田樹さんや釈徹宗さんの現代霊性論の賦活もそれと通底している。なので「祈り」という身体技法が注目されるわけだが、それは何も宗教的体系に基づくものだけとは限らないのだろう。先日の日本宗教学会でも「祈りの公益」について議論があったと聞くが、宗教的制約から自由であり、同時に宗教的体系に対し謙虚な「開かれた祈り」が求められるのかもしれない。被災地などで繰り返し行われる「祈りの市民集会」のように。
2部では、田中利典金峯山寺執行長、白波瀬達也大阪市大博士研究員、稲場圭信大阪大学准教授と私も参加して、パネル討議があった。
宗教関係者を想定して企画されたものだが、フロアにはNPO関係者や学生もたくさん来ていた。久しぶりのゲストを招いてのワンコイン交流会も有意義であった。

(秋田光彦記)