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7/5 夏のエンディングセミナー「おひとりさま、最後の終活」を開催致しました。

去る7月5日、大蓮寺・エンディングを考える市民の会・應典院寺町倶楽部主催による恒例の夏のエンディングセミナー「おひとりさま、最後の終活~お寺とNPOの『生前契約』~」が開催されました。

今回のセミナーでは、基調講演者として、NPO法人りすシステムの代表理事である杉山歩様から、生前契約についての仕組みを学ぶ機会を持ちました。りすシステムとは、「リビング・サポート・システム・サービス」の略で、開設以来すでに20年あまりの経験を持つこの業界のパイオニアとして、牽引されてきた団体です。「生前契約」とは、りすシステムによって名付けられた概念で、原意は「契約者本人が、生前のしかも判断能力が十分な状態であるときに締結する、死後事務に関する委任契約」であります。この原意を土台に時間的な連続性と生活面での包括性に配慮して拡充されたものが現在のシステムとなっているそうです。

家族の形態や共同体の絆が薄くなってきた現代社会において、「生前契約」では契約者の死の前・後への様々な支援がなされています。これらの契約は、家族の代替えシステムとしての深い信頼関係があってはじめて成り立つものであり、現在、全国に広がるシステムとして、2500人に及ぶ会員さんとご縁を結ばれて、支援活動を行っておられる内容等をお聞きしました。

後半の座談会では、葬送アドバイザーの廣江輝夫様、大蓮寺住職の秋田光彦が加わり、終活ブームの背景にあるものを探りながら、今、なぜお寺とNPOが協働関係を築くのか、そこに生まれる課題や難しさにも話が及びました。特に仏教における「お布施」はご本尊に「感謝の気持ちで施し供える」との意味合いがあり、秋田住職からは、生前契約の内容確認には「お布施」の内容も入ることへの課題点等もあることも提示されました。また、葬送アドバイザーの廣江さんからは、遺族の方への長期的なサポートの過程から汲み取れる、遺族同士の当事者グループとしての「大きな家族」として、「人々と語れる場」のコミュニティの創成のあり方なども提起されました。

最後には、『終活難民』の作者である星野哲さんも駆けつけていただき、「お寺とNPOの協働は「三方良し」の関係であること、また、ドラッカーの「最古のNPOは日本の寺院にみられる」という言葉を紹介され、「結縁」の場であるお寺のこれからの展望等をお話され、会を締めくくってくださいました。

梅雨の合間ではありましたが、90名ほどの様々な年齢の参加者の皆様が大蓮寺の客殿に集まってくださり、この問題に関する意識や関心の深さを感じる会となりました。