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2017/10/1 應典院寺務局:横田丈実監督「遺影、夏空に近く」上映会とトークを開催いたしました。

10月1日、横田丈実監督作品「遺影、夏空に近く」上映会とトークショーを、浄土宗應典院本堂にて開催致しました。
本作品は奈良県「いかるがの里」を舞台に、この町のお寺、融通念佛宗浄念寺のお坊さんでもある横田丈実監督が、撮影・録音スタッフと共に、檀家さんである7つの家族と個性豊かな遺影写真を訪ね歩くというものです。

職人気質の自転車屋さんの笑顔や、靖国神社と共に収まるいかるがから徴兵されていった戦没者、生前と違う髪型になってしまった方など、訪問先のご家族が語られるのは切なくて、ときに微笑ましい遺影写真にまつわる物語でした。

 

 

上映後は、横田丈実監督と浄土宗應典院主幹 秋田光軌によるトークショーがおこなわれました。
ともに「お坊さん」である2人の会話のなかでは、「遺影の宗教性」がひとつのテーマとなりました。親しみのあるスナップ写真とは違って、あくまでも顔と服装の合成である遺影写真は、なんとなくご先祖様の怖さを感じ、大切にしないといけないような気持ちにさせるものです。このような技術や科学とは異なる「不十分さゆえの宗教性」が、遺影には存在しているとして取り上げられました。

一方で、遺影はあくまでも魂を入れるなどではなく「日常にあるもの」で、たとえば上にあげるべきや下にあってはダメなどの扱いに決まりは無いことも話されました。遺影というものの在り方は家や人によって異なりつつも、どの家庭においても写真を見ながら家族との思い出をしみじみと振り返る光景が、作品のなかでも映し出されています。

実際に映画のなかで取材を受けた檀家さんも観客として来られているなど、質疑も交えたトークショーは大変盛り上がった時間となりました。

 

 

トークショーの中で観客の方も指摘されていたように、ドキュメンタリー映画という前提においてご自宅の遺影写真について語る「檀家さん」と、監督である「お坊さん」の信頼関係が在り在りと窺えたことが、作品を鑑賞するなかで何よりも印象的でした。

あらためてチラシを見返してみると、「膝をつき合わす人間関係と、ほっこりと流れる仏教的時間」と記載されています。インタビューの中で亡き人への思いを振り返る、という遺された方の行為に「人と人の繋がり方」を考えさせられたのもそうですが、所謂ご近所関係が希薄になったと言われて久しい日本社会において、長い年月をかけて、暖かみのある地域・家庭間交流が継続して築かれていることに「お寺」の存在が寄与していると考えれば、その意義はとてつもなく大きなものであると、あらためて認識させられた次第です。

 

 

(浄土宗應典院寺務局 繁澤邦明)

人物(五十音順)

秋田光軌
(浄土宗應典院主幹・應典院寺町倶楽部事務局長、浄土宗大蓮寺副住職)
繁澤邦明
(浄土宗應典院職員/俳優・劇作家・演出家)
横田丈実
(大和川慕情・映画監督)