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2019/10/23-28 大舩真言展「中空」(ちゅうくう)

<應典院寺町倶楽部共催事業>

このたび、広く国内外で活躍する美術家大舩真言(おおふね まこと)氏の展覧会を大阪下寺町の應典院で開催します。日本画古来の和紙と岩絵具、時に素地に岩石も用い、岩絵具の持つ色彩の繊細な発色と粒子の物質感を自在に駆使する作風は、時間と共に印象が変化する重層的で奥深い鑑賞体験をもたらし、その作品は平面絵画というより、鑑賞者をあたかも一つの磁場に引き込むような、場そのものを立ち上がらせる空間芸術として、文化庁新進芸術家海外研修員に選ばれるなど、高い評価を得ています。

今まで美術館・ギャラリー以外にも京都の上賀茂・下鴨両神社、パリ聖メリー教会等の宗教的環境で、その場の精神性に喚起されたインスタレーションを行ってきましたが、今回の会場、應典院は、20 年にわたり「開かれた寺」を標榜して現代社会と仏教の接する最前線にあり、文化情報の発信および多彩な分野の人々の交流の場として知られています。

ある意味で生死を超えた長い時間軸を感じることのできる寺院での展覧会は、鑑賞者にはより深く内的な体験の機会となり、芸術専門施設以外の(オルタナティブな)場における空間と作品の有機的な相関を実感する好機となることと思われます。

二つのインスタレーションで構成される本展では、無の質感をテーマとした作品 VOID が本堂に、また呼応するロビーギャラリー(気づきの広場)では窓を一つの意識と捉えながら、外界と内面をつなぐ象徴として、人間の存在をインスタレーションに取り込む新たな試みにも挑戦します。

大舩真言VOID | 結び 上賀茂神社(京都), 2015

企画趣旨

美術家の大舩真言は鉱物や天然石などを用いて、あらゆる事象の境界に立ち現れる「ゆらぎ」(wave)や「空虚」(void) を表現してきた。その作品は、淡い朝霧のよう あり、闇夜の水面のようであり、時に無骨な月面のようでもある。空気、風、水そしてそこに居合わせる私たちまでをも粒子レベルに解体してそれらの境界や属性を曖昧にする。

今回会場の一つとなるガラス張りのギャラリースペースからは、大蓮寺の墓地と少し小高い生國魂神社の森が一望できる。その昔、この生玉さんの森を東端とする上町台地の崖下は大海原で、北は難波宮跡あたりから南は住吉大社まで長大な海岸線が続いていたという。まさにその海食崖の真下、太古の昔は深い海の底であったこの場所に佇んでいると、陸と海、過去と現在、生と死…それらの境界が徐々に流動してくるような感覚に気づく。

これまで美術館やギャラリーのほか、国内外の宗教空間で展示を重ねてきた大舩の作品が、今回、大阪の歴史と地層を纏った應典院という場所でどのような呼応をうみだすだろうか。
昨年日仏友好 160 年を祝して開催された「ジャポニスム 2018」の一環として、フィルハーモニー・ド・パリで開催された雅楽とコンテンポラリー・ダンスの共演を舞台美術として彩った《VOID》が日本に初凱旋。大阪では 13 年ぶりの個展となる本展では、変容する存在や領域の可能性を追求する。

大舩真言展「中空」実行委員長 小林瑠音
(京都造形芸術大学大学院グローバル・ゼミ プログラムオフィサー)

タイトル

大舩真言展「中空」(ちゅうくう)

会期

2019 年 10 月 23 日(水)- 28 日(月)
午前 10 時 – 午後 7 時(入場無料)

会場

浄土宗應典院 本堂・気づきの広場

-関連イベント-

2019年10月25日(金) 19:30-

19:30 – 20:30 対談 | 秋田 光彦(浄土宗大蓮寺・應典院 住職)× 大舩 真言
20:30 – 21:30 レセプション
※ 無料(対談は要申込)

(申込先 Email:ofune.chuku@gmail.com ①氏名 ②人数 ③お電話番号 をお知らせください)

作家プロフィール

 大 舩 真 言 OFUNE makoto

1977 大阪府生まれ
2000 京都教育大学特修美術科日本画専攻卒業
2001 同大学研究科修了
2016 文化庁新進芸術家海外研修員としてパリに滞在

< 主な展覧会等>

2019 個展「大舩 真言展 – 粒子の気色」東近江市立八日市文化芸術会館 (滋賀)
2018 ジャポニスム 2018 公式企画参加 フィルハーモニー・ド・パリ(パリ)
2018「Colors」 ギャラリー小柳(東京)
2017 個展「WAVE」YOSHII GALLERY (ニューヨーク)
2017 「On the Art of Building a Teahouse」 Neues Museum (ニュルンベルク)
2017 個展「MAKOTO OFUNE」OLIVIER MALINGUE Gallery (ロンドン)
2016 個展「Particules en Symphonie」Saint-Merry 教会(パリ)
2015 「VOID | 結び」/「Raw | 流れの外に」上賀茂神社、下鴨神社(京都)
2012 「BIWAKO ビエンナーレ 2012」村雲御所 瑞龍寺門跡(滋賀)
2011 「COLORS OF SEASONS – 第 26 回国民文化祭-」京都芸術センター(京都)
2010 「物からモノへ」京都大学総合博物館(京都)
2009 「1 Puissance infini」Espace Topographie de l’art (パリ)
2006 「Art Court Frontier 2006」ARTCOURT Gallery(大阪)

< パブリックコレクション >

東長寺 文由閣(東京)、ザ・パークハウス 中之島タワー(大阪)、大光電機株式会社技術研究所(大阪)、Chateau la Coste(ル・ピュイ=サント=レパラード / フランス)、フォーシーズンホテル(京都)、ザ・リッツ・カールトン(京都)、パークアクシスプレミア日本橋室町(東京)、セントレジス大阪(大阪)

大舩真言展・應典院
Particules en Symphonie 聖メリー教会(パリ), 2016

大舩真言展「中空」浄土宗應典院
ジャポニスム2018 公式企画『GAGAKU 伶楽舎×森山開次』内「彼岸の時間」
・会場:フィルハーモニー・ド・パリ
・主催:国際交流基金、フィルハーモニー・ド・パリ
・美術(VOID):大舩真言
・協力:KAJIMOTO、曹洞宗 東長寺、天池合繊株式会社 © Mari Tanabe

ロビーギャラリー(気づきの広場)インスタレーション協力:國本文平 KUNIMOTO Bunpei

2009年 広島大学総合科学部総合科学科卒業 総合科学学士( 哲学)
2011年-2012年 CNDC/アンジェ国立コンテンポラリーダンス大学(フランス)に短期留学
2015年 広島大学医学部保健学科作業療法学専攻卒業 作業療法士免許取得
2016年-2018年 文化庁新進芸術家海外研修生 2018年-2019年 ポーラ美術振興財団在外研修員
2019年 ポンピドゥーセンター(パリ)の企画展“HORS PISTES 2019 LA LUNE”に出演
〈受賞〉2005年 Artisticmovement in TOYAMA 2005 特別賞 / 2011年「若手振付家のための在日フランス大使館賞」横浜ダンスコレクションEX2011

主催

大舩真言展「中空」実行委員会

共催

應典院寺町倶楽部

協力

ミネベアミツミ(株)
大光電機株式会社

人物(五十音順)

秋田光彦
(浄土宗大蓮寺・應典院住職)