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2017/10/30-11/5 大塚久美子個展「私の中の命のかたち Shapes of Lives in Myself」

〈浄土宗應典院主催事業〉

日時 10月30日(月)~11月5日(日)11:00~20:00(初日17:00~、最終日17:00終了)
※初日19:00からオープニングパーティーを開催します。

参加費 無料

会場 應典院本堂ホール

主催:浄土宗應典院
翻訳:榎本瑞希
照明:ホシノ貴江
装置:池田敬太

この度の展示は私にとって画家としての初めての展示になります。

「命と自然と私」私は自分の命のことや目に映る光景の一つ一つに宿る命に関心を持っています。きっかけは2011年3月11日に、日本の東北地方を襲った地震と津波でした。

この日私は、当り前に続くと思い込んでいた日常が、一瞬にして崩壊してしまうということを目の当たりにさせられました。文明の利器に支えられた今の暮らしを疑うことなく享受して来た私に津波は、人間の存在は自然の一部に過ぎない、という事実をリアルに気付かせてくれました。

モチーフとなった8点の切り株とは、東京にある公園で出会いました。あちこちの切り株を寄せ集めたのではなく幅2メートル奥行4メートル余りの一カ所に固まって存在していた切り株です。私が切り株の存在に気づいたとき、切られて間もないのか、切り株の表面は水気を帯び、生々しく赤く輝いていました。

私は思わず切り株を覗き込みました。

木は切られてしばらくは、切られたことに気づかずに、それまでと同じように水を吸い上げるそうです。赤く燃えるような表情をした切り株に私は眩しいほどの命を感じました。

一つの場所で出会った切り株だけの展示にした理由は、私が切り株のフォルムに自由な命を感じたからです。同じ種類の木で同じ場所に生えていたにもかかわらず、切り株は一つとして同じ形をしていませんでした。

作品を床に並べた理由は、私が切り株と出会った時と同じように、展覧会に足を運んでくださった皆様にも覗き込んで欲しいとの思いからです。
この度の展示が私たちの身の周りに流れている時間や、人間にとって何が大事なのだろうかという、そんな素朴なことを考えてみる機会の一つになることを願っています。

年齢とともに増える知識や便利な暮らしの中で窮屈になりかけている今の私。
切り株は「私の中の命のかたち」を見つめる良い機会を与えてくれました。

切り株はご本尊を中心に公園の一角に存在していた時と同じ位置に並べてみました。
應典院の森の中で切り株と切り株の間を散策してもらえると嬉しいです。

大塚久美子

〇大塚久美子プロフィール(1979年 東京生まれ)

2002年 玉川大学文学部芸術学科卒業(Bachelor of Arts)
2004-2005年 ベルリンのゲーテインスティチュートでドイツ語を学ぶ
2005-2006年 ベルリン芸術大学(UdK)で聴講生として細密画をHamra Abbasのもとで学ぶ
2009年- 写真家、橋口譲二のもとで表現を学ぶとともに、ヨーロッパの写真家と作品を日本に紹介する仕事に携わる

以下、出版媒体に4名の作家を紹介しました。

○Fritz Fabert(ドイツ)『世界』(No.791)2009年3月号(岩波書店)8ページ、写真8点
○Anne Schwalbe(ドイツ)『世界』(No.801)2010年2月号(岩波書店)8ページ、写真8点
○Pettendi Szabo Peter(ハンガリー)『世界』(No.835)2012年10月号(岩波書店)8ページ、写真8点
○Ewa Wolanska(ポーランド)『世界』(No.854)2014年3月号(岩波書店)8ページ、写真8点