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2018/1/16 髙道屋沙姫:meyou#9「シエルソル」レビュー

應典院寺町倶楽部との協働により、モニターレビュアー制度を導入しています。1月16日(火)に應典院本堂にておこなわれた、コモンズフェスタ2018企画meyou#9「シエルソル」。2017年10月12月と、気づきの広場にての二度の試みを経て、上演となりました。今回は劇作家・演出家の髙道屋沙姫さんにレビューを執筆していただきました。


 

私は今回レビューを書くこと自体を諦めようとしている。本当は3回ほど1000文字以上書いては消すのを繰り返した。事細かく説明してみようともした。だけど、どうも納得がいかない。締め切りはとっくに過ぎている。良いのか、いいのか私!これを出していいのか!と自問自答も激しいのだが、先に書いたものだと言葉にすればするほど違和感が生まれて、自分の見たことや感動したことがこぼれ落ちて行く。meyou#9 「シエルソル」にレビューを書くことはその本質と1番遠いことなんじゃないかと思う。そこにいる肉体に果たして本当に感情があるのかは置いておいて、見る側は幾多の感情を想像する。それに言葉を当てて『名付け』をしてしまうと、身体で表現する意味が薄れて感動も半減すると思うからだ。それに、なにを見たかはその人によって変わると思う。言葉に出来ないということはつまり、言葉にしない方がいいんじゃないのか……?という結論に至る。夏目漱石の『虞美人草』の朗読という意味では言葉は使っているものの、それは言葉としてではなく音楽としてだと感じた。夏目漱石が腐心して紡いだ美しい文体、しっかり地盤を固める役者、嘘偽りのない身体、刺激的な音楽。それに私が改めて言葉を当てることはナンセンスなような気がしてならない。

言葉に出来ない空間だった。

言葉には出来ないが心をゆさぶられた時間だった。

終演後にお話をきくと振り付けも音楽も殆ど全て即興で上演されていたらしい。即興であの完成度はすごい。

『観てください。そうすれば分かります』。というのはレビュアーとして、いけないことだと思うので言い方を変える『観てください。あなたが観たいものを自由に観ることが出来ます』

 

〇レビュアープロフィール

髙道屋沙姫(たかんどうや さき)

6歳で演劇と出会い、子役として活動を始める。中学から高校まで演劇部に入り、高校2年生で1人芝居の作・演出・出演で学校初の近畿大会出場を果たす。その後、大阪芸術大学舞台芸術学科演技・演出コースに進学するも、19歳で急性骨髄性白血病を発症。闘病生活中、様々な人の温かさを知り骨髄移植を経て1年で退院、大学に復学。かまとと小町を旗揚げし、復帰一作品目の『MAMMY』で大阪短編学生演劇祭で最優秀賞と観客賞をW受賞。全国学生演劇祭への出場を果たす。以降、『チクっと胸が痛くなることを、クスッと面白く』をモットーに、かまとと小町で(番外公演以外)全ての脚本と演出を担当。客演、脚本提供、演出、ラジオドラマの執筆やワークショップ講師など、活動の幅を広げている。

〇レビュアー出演等情報

DIVEプロデュース 大阪シアターフェスティバル
演劇EXPO2018
『流れんな』
作  横山拓也(iaku)
演出 樋口ミユ(Plant M)
日時 2018年2月15日[木]➝18日
場所 ウイングフィールド