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2018/1/10  應典院寺務局:「詩の学校~ことばを人生の味方にしよう~」を開催いたしました。

去る1月10日(水)、コモンズフェスタ2018の一企画として、本堂ホールにて「詩の学校~ことばを人生の味方にしよう~」を開催いたしました。毎月第2水曜日、研修室Bにて開催されている「詩の学校」を、普段とは異なる空間にて実施。冒頭には秋田住職からの新年法話もあり、ご本尊の阿弥陀如来に見守られながら詩を作る時間となりました。

まずは、上田假奈代さん(詩人・NPO法人ココルーム)の進行で、應典院との出会いや、詩とお寺の関係についてお話しいただきました。詩は漢字で「言偏に寺」と書くように、もともと大いなるものへの祈りや儀式と深く関わっています。そうした詩の本質を思い起こすためにも、お寺という宗教的な場でこの会を重ねることを大事にしているということでした。

その後、参加者の皆さんからおひとりずつ近況報告をいただきました。一巡して語りを進めるなかで、その内容から「子ども」「金銭感覚」「恥ずかしいこと」という3つのテーマが浮かび上がっていきます。これらのテーマの中から任意のものについて直観的に絵やイメージを描き、2人1組になってそれぞれの絵について相互に聞取りを行いました。聞取りが盛り上がり、つい夢中になってしまいますが、話を聞き終わったペアから相手の語りをもとにして詩をつくりはじめていきます。湧き上がってくるものを何とかことばにしようと、本堂には集中力に満ちた静寂の時間が流れました。

最後は、これもおひとりずつ詩の朗読を行い、全員に向けて共有します。生命の輝きをめぐる抽象的な詩、ペアの相手の人物像を掘り下げていく詩、子どもたちが大喜びしそうなキャラクターが活躍する詩、さらには参加者の詩を即興的につなげていくものまで、詩の内容は非常にバラエティに富んだものとなりました。また、朗読の声色や語り口にも、参加者それぞれの個性が際立ち、人に届く声とはどういうものかと考えさせられる時間でもありました。

今回改めて印象的だったのは、じぶんの中にはじめからあるものを詩にするのではなく、他人の中にある未知のものを聞き取ることから、詩を紡ぐということの貴重さでした。自分の個性や考えを表現することが求められる現代社会ですが、それはともすれば、自分の中にはじめからあるものしか表現できない、他者の語りや想像力に耳を澄ませることを必要としない、そんな状況をも導いてしまいかねません。

じぶんの外側にある他者の発想に身を委ねながら、それをじぶんの内側と結びつけることで、創造的な詩が、表現が生まれていく。詩作を通した共生のレッスンは、まさに「commons(共有地)」の名にふさわしい場であったように感じました。

應典院寺務局

人物(五十音順)

上田假奈代
(特定非営利活動法人こえとことばとこころの部屋代表)