2018/3/5 白井宏幸:Temple school 藤田一照さん×光岡英稔さん対話「禅と武術を通じていのちを知る」&禅・武術体験ワークショップ レビュー
浄土宗應典院協力事業として、《Temple School 第5弾》藤田一照さん×光岡英稔さん対話「禅と武術を通じていのちを知る」&禅・武術体験ワークショップが、3月5日(月)に應典院本堂で開催されました。禅僧の藤田一照さんと武術家の光岡英稔さんのお二人を講師としておこなわれた本企画。対話と体験に基づく内容に、満員の本堂には感嘆の声が響き渡っていました。今回は役者の白井宏幸さんにレビューを執筆していただきました。
Temple School「禅と武術を通じていのちを知る」&禅・武術体験ws
2018年3月5日(月) 18時30分 ~ 21時30分
〇登壇者…藤田一照(曹洞宗僧侶)、光岡英稔(武術家)、小出遥子(Temple主宰)
3月5日月曜日
朝からの雨も小降りになり、春の嵐に吹かれ、日暮れの應典院に向かいました。
個人的に心身ともにコンディションは実はあまり良くなく、ぼんやりとしていると眠ってしまうのではないかと危惧しておりました。
演劇人としての僕がいつも知っている、劇場として利用する應典院本堂ホールには、
70人から80人ほどでしょうか、たくさんのしずかな息遣いが聞こえてきました。
Temple School「禅と武術を通じていのちを知る」&禅・武術体験WS
人間の命について禅と武術の観点から紐解いていく、という。
しかし、紐解いてはいかなかったのです。あっという間に実践に移ります。
人の身体には裏と表があり、表と表が重なれば定位、揃わなければ不定位。
勁道、動法といい、型を行う事で身体の強度が増すという。
同じ構えをしているのにもかかわらず、一方では支えが効かず、もう一方では踏ん張れる。
そういった、身体の不思議を例に挙げ、実践の機会を与えてくれます。
しかしながら、先生方や先達の方々においては、何も不思議なことはなく、
普通ならば、こういう流れで動いてしかるべきであるところを、近代では左右対称で身体を捉え、
思うほどに意味のないトレーニングをしているのだという。
身体はモノではなくコトである。
名前の付いた骨や筋肉の集まりではなく、心臓が動いているコト、
ある動作をすれば別の部位が自然と流れのままについてくるコト。
そういった内容を、実践を踏まえながら伝えていただきました。
最後に初めて会った参加者同士で学びをシェアするという時間を設け、
今回経験した事について話をしました。
身体の中にある満たされない空虚感。
こういったものには最近の若い世代の若い方々がよりよく気付いているのではないか、
私たちの世代のように、哲学や知識で考える世代には気づけない問題にぶつかっているのではないか。
という言葉が印象的でした。
心と身体が繋がっているという考え方から、身体は身体で単独のもの、身体という第三者に出会うという感覚。
雨の上がった外の冴えた空気がとても心地よかったです。
〇レビュアープロフィール
白井宏幸
俳優、ステージタイガー所属
3月17日(土)松原市文化会館に於いて自殺防止の「ゲートキーパー」をテーマにした作品
「I CONTACT」を上演いたします。入場無料。