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2018/6/7 高橋佳恵:「天野光の文楽講座」レビュー

去る6月7日(木)に應典院寺町倶楽部協力事業として開催された「天野光の文楽講座」について、当日サポートスタッフとして参加された高橋佳恵さん(パドマ幼稚園OG)に、レビューをご寄稿いただきました。もともと天野さんと親交のある高橋さんの視点から、文楽やお寺への「ご縁の扉」について触れてくださっています。ぜひご一読ください。


文楽に縁のある高津の地で育った私が、今までなぜ「文楽鑑賞未経験」だったのか。

私と文楽のご縁の糸を手繰ると、小学生の頃。長年更地であった高津小学校跡地に、国立の劇場が出来る!と地元が賑わい、自宅前の路地をちょっと出ると、重厚感ある劇場の建物の壁面に、突然大きな「文楽」の文字が現れたのでした。

この国立文楽劇場との近すぎる距離が、「文楽は、いつでも観れる」という安心を生んでいたように思います。

そんな私が「應典院寺町倶楽部協力事業・天野光の文楽講座」の講師である天野さんとお友達になったきっかけは、文楽・・・であるはずがなく、仏教でした。

釈徹宗先生の仏教の勉強会で天野さんと何度かご一緒し、昨年9月は「文楽まちあるき」もご一緒させていただきました。誰よりも熱心にメモをとり、見落としそうな看板までカメラに収め・・・自転車に当てられそうになっても、全力で名所取材をする天野さん。

そんな彼女の熱い『文楽愛』がたっぷり織り込まれた文楽講座が、6月7日に應典院で開かれました。

いつもは熱心にカメラとメモで記録を取る天野さんですが、受講者には「メモ禁止」のお約束を投げかけられました。講座中はお話と映像に集中してほしい、というご自身の学ぶ側としての経験則から生み出された「受講者ルール」とのこと。
講座終了後に配布される詳細なレジュメからも、真面目な天野さんらしさを感じ取ることができました。

文楽の魅力とは何なのか、その見どころを有名な名セリフもまじえて、次々とお話しくださいます。また應典院周辺には、文楽と縁が深いお寺や神社がたくさんあり、天野さんは「文楽散歩」と名付け、たくさんの名所をご紹介して下さりました。

しかし、それらの名所は観光地のような派手さは全くありません。
登場人物や、浄瑠璃作家が眠る寺院。物語の舞台となった神社。
どれもこれも庶民の息遣いが聞こえるような・・・その角の向こう、あのお寺の隅、というのも驚きでした。

今回、この文楽講座の受講者として強く感じたこと。
それは、私達が「勝手な思い込み」を材料にして、高い敷居を作ることにより、様々な「ご縁」を遠ざけてしまっているということ。
人、モノ、文化、そして…お寺とのご縁も。
実は、どれも高い敷居など一切なく、特別な鍵ももちろんなくて。ご縁の扉はいつも、開いていた?のかもしれません。

人物(五十音順)

高橋佳恵
(パドマ幼稚園OG)