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2018/8/3 應典院寺務局:「おてら終活カフェ〜生前契約について~」開催報告

去る8月3日、『第2回おてら終活カフェ』を開催いたしました。ゲストに、NPO法人りすシステム代表理事の杉山歩さんをお迎えして「生前契約について」お話しいただいたのち、應典院主査の齋藤からの質問、さらに住職からのコメントを交えました。その後の会場からの質疑応答では活発な意見が飛び交いました。最後には、会場のみなさま同士の意見交換の時間をもち、みなさまが明るく、食い入るようにお話され、瞬く間に時間が過ぎて行きました。


 

今回のテーマは、じつは「第一回おてら終活カフェ」で開催予定だったのですが、先日の地震によって延期になってしまい、ようやく開催することができました。心待ちにしてくださった方も多かったのでしょう、会場は超満員の50名をこえる方がお越しくださいました。

ゲストに、NPO法人りすシステム代表理事の杉山歩さんをお迎えし、「生前契約」にまつわる様々なサポートについてお話いただきました。りすシステムは「リビング・サポート・システム」の略で、最後まで自分らしく生き、自己責任で死の準備をする「21世紀型の社会保障システム」です。2000年4月「任意後見契約に関する法律」が施行されたことにより、「生前」「任意後見」「死後」の3つの契約によって、「生きているとき」から「万一、判断能力をなくしたとき」、そして「死を迎えたとき」までを一貫してサポートできるようになりました。価値観の多様化に対応し、いつでも、どこでも、誰もが安心して利用できる「生前契約」という新しいライフスタイルの提案されています。

おひとりおひとりのご事情に合わせて、大まかに「生前事務(後見事務)」と「死後事務」の中から、様々なサポートを行っています。例えば、生前事務で言えば、入院・賃貸住宅や老人ホームなどの入居際の身元引受保証、認知症などになった場合の後見、手術の立会いや同意の代理等が含まれます。死後事務は、お葬儀やご納骨や、保険・年金・公共料金などの各種手続き、住居の片づけなど多岐にわたる事務内容が含まれます。おひとり住まいや、家族が遠方にいる方が多いなかで、家族や親戚と同じように親身になって手助けをする社会的・経済的な互助関係を築いています。

2018年現在、平均寿命と健康寿命には、男性で9.60歳、女性で12.84歳の乖離があるそうです。約10年のあいだ、誰かにお世話にならなくてはいけない時代。できるだけ健康なうちに、死後のことや病気になったときのこと、もし認知症になってしまったときのことなどを、あらかじめ考えておかなければいけないのでしょう。
杉山さんは、「これまでは、亡くなったり病気になってからのことは、自分の子どもや親戚などの誰かがやってくれていましたが、今はもう “誰かがやってくれて当たり前” というのが難しくなってきました。しかし、ポジティブにいうと、自分のお葬式をどんな風にするのか、自分自身で決めることもできる。自由にいろんなことを考えられる世の中になったのです。」と、説得力ある声が響きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杉山さんは、「自分がどうしたいかを考えること」の重要性を強調されました。会場のみなさんも、うんうんとうなずきながら、熱心に聴き入っておられました。生きている間に、わたしたちはたくさんの”手続き”を行います。それは、誰かに託しておかなければ、とんでもないことになるのです。たしかに、それにはコストも伴います。しかしそれ以上に、自分で、自由に考え決定しておくことは、現在の自分を整理し、いかに生きるかへのヒントにもなりうるのです。

後半は、秋田住職と秋田光軌副住職が参加しました。大阪市は全国の政令指定都市の中で最も無縁仏の数が多く、9人に1人は無縁仏として亡くなる。はじめて聞いた方も多かったようで、会場からは驚きの声が漏れました。

また、「終活についてどこに行って相談をしたらよいのか分からない」という質問に、「まずは自分の希望を整理して考えるところからはじめてみましょう」という杉山さんのお答えには説得力がありました。
秋田住職は、應典院でも取り組みを続けていき、困りごとを気楽にいえるような場になるように、「終活カフェ」や「よろず相談」続けていきたいと答えられました。
最後に、会場のみなさん同士が車座になって話し合う時間を持ち、前回と同様に時間が足りなくなるほど、話の花が咲き誇りました。

人物(五十音順)

杉山歩
(NPO法人りすシステム代表理事)