KMA2015REVIEW 佐々木清子
「キッズ・ミート・アート2015に参加して」
佐々木清子(36歳、息子1歳11か月、高槻市より)
私はもともとアート好きなのですが、息子が成長すると共に暴れ騒ぐようになり、美術館などじっくり鑑賞する場所からは足が遠のいています。代わりに、子供向けのワークショップへ一緒に参加することが増えました。しかし、アート系の子供向けワークショップは、対象が小学生以上のものが多く、年齢不問かつ親も一緒に参加できるものは、案外少ないのが現状です。
とうことで今回は、親子で思いっきりアートにミートできることを期待して、以下2つのワークショップに参加しました。どちらもただ楽しめればいいと思っていたのですが、考えさせられる貴重な機会となりました。
「いっしょにうごいてまなぼう!~からだあそびからからだのアートまで~」は、子供と大人に分かれ、別々のワークを行いました。最後は全員輪になって、前の人の背中を撫で下ろしながら、各自の好物を発表し合いました。10代女子の細い指で遠慮がちに背中を撫でられると、何とも心地よく温かい気持ちになり、赤の他人の好物といった、普段ならどうでもいい事でも興味深く聞くことができました。この背中を撫で下ろす行為は、頭に上った血の気を下げるといった効果もあるそうで、今でも息子が大泣きした時などに活用しています。良い土産を頂いた反面、残念だったのは、暴れまわる息子を追う間にほとんどのワークに参加できなかったことです。子供が多いと、講師だけでは制御できないので、数名の保育士がサポートされるとよいのではないかと思います。
「ノムさんのスッポコペー音楽会」は野村誠さんのソロに始まり、最後は全員が演者になっての大合奏。唯一のルールは「おきろー!」のひと声で演奏を止めることです。子供たちの真剣な表情と音のパワーに感動しましたが、人生の課題も浮き彫りになりました。それは全員演奏が始まる前のこと、楽器を触りたくて仕方ない息子を止めるのに必死だった私は、舞台に侵入してしまったのです。舞台はアーティストの領域なので、そこで起きる事はお任せするべきだったと反省しています。今回の事で、これまでも他人の領域を侵してきたことに気が付きました。息子には人権すら与えて無かったのではないかと思う程です。よくよく気を付けねばなりません。
いずれも、子供も大人も一緒に動き、演奏することで、居合わせた人同士の関係性が、平らになっていくような感覚になりました。この平らな関係を、日常生活に取り入れたいところですが、なかなか難しいものです。今回のようなイベントに参加して、平らな気持ちを定期的にチャージし、心を平和に保ちたいものです。貴重な機会を企画された皆様には感謝すると共に、年1回でなくもう少し回数を増やして下さいますよう、お願い申し上げます。
<執筆者プロフィール>
佐々木清子(ささききよこ)
主婦・母ちゃん・ライター。関西の情報誌編集社勤務後、フリーランスで雑誌等の記者として活動。2016年春に夫の転勤について愛知県へ転居。友達作りを目的に始めた、お面作りの露天商が板につきつつある。