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7/21 いのちと出会う会 第151回「波瀾万丈の人生からの気づき」 を開催いたしました。

去る7月21日、いのちと出会う会 第151回「波瀾万丈の人生からの気づき」を開催いたしました。話題提供者に一般社団法人HPC代表理事の宮川奈緒美さんを迎え、波乱万丈な宮川さんの人生を通して得た気づきについて語っていただきました。

幼少期に両親が離婚され、父親のもとで暮らすことになった宮川さんは、親戚や知人の家に預けられ転々とした生活の中、小中では9回も転校を余儀なくされ、家計を支えるためにアルバイトを始められます。幼少期に感じた貧困という「お金のない不安」の経験は、人生における影響力が大変強いものであることを、高校生になっても、更に留学先でも実感されました。この問題は普段私たちが目にする「貧困問題」とは異なり、いまお金に困っていなくても、幼少期に体験した貧困がその後の人生にも大きな影響を与えるという潜在的な問題を呈しているように感じました。

成長されたのち、留学から帰国した宮川さんは、提案された事業計画が採択され、大きなお金を得られることになり、また、結婚もされて順調な人生を過ごしておられました。その得られた資金を人々の助けのために使いたいという気持ちから、医療系の学校に通われることになります。三足のわらじならぬ、結婚生活、学生、加えて、知人の会社を引き継ぐこととなり、会社経営の労も取られることになったのです。

しかしながら、このような苦労の最中、離婚に直面され、子育てをしながらの学生生活、そして会社経営と、寝る暇も休む間もなく活動する中で、今までどれほど辛い経験をしても死にたいと思うことのなかった宮川さんが、自らの命を絶ちたいと思われるまで追い詰められました。幸い一命は取り留められたそうですが、人生のどん底を味わった後は、「どんなことをしていても、人は生きていけるのだ」と思われるようになり、自らの命を大事に、前向きに生きていけるような転機となった、と語っておられました。

このような経験をされたことによって、自分という命は<人とのご縁>に恵まれていることで生かされている、と改めて気づいた宮川さんは、他者との繋がりを大切にしようと、会社経営に全力を注がれます。順調に会社経営を行っていた矢先にも、神戸本社が阪神淡路大震災によって大きなダメージを受けるという経験もされますが、立て直しに前向きに尽力されたとのことです。また、その後、一生完治不可能な病にかかっていると告げられ、仕事を辞め治療に専念されますが、いくら病院の勧める治療を受けても一向に良くならず、治療を中止。代わりに残りの人生を毎日友人たちと楽しく過ごされているうちに、病が自然に治癒していたという経験もお持ちでした。

現在は、自らの経験から、幼少期の環境が人生にとても大きな影響力を持つことを危惧し、児童養護施設を出た子どもたちの手助けになるような活動をされています。具体的には、不安を抱えた子どもたちの相談を聞く話し相手になり、子どもたちが抱いた夢を叶えるサポートをされています。子どもたちが生育環境に左右されることなく、夢を持って生きることができる世の中になるようにと、様々な活動を通じて前向きに活動されている様子は、参加者のみなさんの心にも響くものがあったのではないでしょうか。

宮川さんはお話を通して、<人とのご縁>や<人との繋がり>の大切さを何度も強く仰っていました。「人とのご縁があって、今の自分がいる」。そう確信されていました。波瀾万丈な人生だったからこそ、どんなことでも受け止める構えができているように感じました。子どもたちの悩み苦しみが少しでも減り、夢や希望を持つことのできる環境に向けて、私たち自身、何ができるのかを深く考える機会となりました。