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2019/4/7 住職コラム:フィクションはリアルを超える。おとむらいシアター。

今日の「お寺終活祭」、若い人たちの2つの試みに感心した。
まず、エンディングコンシェルジュの池邊文香さんとの対談。30歳で1児の母だ。IT業界の人らしく頭の回転が早く、しかも対応能力が高い。周囲は、「お若いから」とか「ネット関係の人はね」とか牽制しがちだが、実は昭和世代よりはるかに鋭い死生観を持つ。それは家族主義、伝承主義でない、個の時代を生き抜くためのスキルと言うべきか。應典院に集う若いアーティストの感性と近いものを感じた。この人は、いずれ大きくなる。そういう予感がする。

その後は、うちの若いスタッフの沖田と繁沢が「おとむらいシアター」を催す。完全丸投げ状態で、私は本番で初めて内容を知ったのだが、ただの「入棺体験」ではなかった。参加者14名から一人入棺する死者役を選び、残り全員に家族や友人の役が割り当てられ、模擬お通夜が進行するというストーリー。副住職のお経と会葬者の語り。相当に場のテンションが高く皆震えた。棺を抱えたまま涙に暮れる人もいた。
振り返りの時、参加した一人が言った。
「お経が聞こえてきて、弔いの気持ちが生まれた。向こうで待っている、また会えると思いました」

人物(五十音順)

秋田光彦
(浄土宗大蓮寺・應典院住職)