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2019/9/30 陸奥賢:第2回おてら終活祭「史上初!?100人で考える、戒名って何だろう?」に参加して

去る2019年9月30日、應典院では第2回「おてら終活祭」を開催いたしました。初秋とはいえ、強い日差しが降り注ぐなかにも関わらず、延べ156名の方がご参加くださいました。今回は「百人で考える生前戒名ワークショップ」「遺影撮影会」「お坊さんと食べる精進弁当」「お坊さんよろず相談」という4つのプログラムをご用意しました。どのプログラムも、参加者の皆さまの微笑みと熱意、僧侶のみなさんの誠意と率直さを感じる、代え難い時間となりました。
さて、今回は午後に開催した『史上初!?100人で考える、戒名って何だろう?~お坊さんぶっちゃけトーク&戒名ワークショップ』について、應典院寺町倶楽部執行部役員の陸奥賢さんに、開催報告を寄稿していただきました。


2019年9月30日、應典院で開催された第2回「おてら終活祭」のプログラム「史上初!?100人で考える、戒名って何だろう?」に参加しました。当日は月曜日で、平日の昼間にも関わらず、100名を超える参加者が集まって、改めて終活に関する世間の皆さん(ほとんど高齢者、シニア層でしたが)の関心の高さに驚いた次第です。

プログラムですが、前半は「お坊さんぶっちゃけトーク あなたの知らない戒名の世界」。後半は「お坊さんと考える戒名グループワークショップ」と二段構成になっていました。一般社団法人お寺の未来代表理事の井出悦郎さんが進行役を務めました。

前半のトークは、最初は井出さんから会場の参加者に対して、戒名に関する簡単なクイズが出されました。タレントや歴史上の人物の戒名がスライドで提示されて「これは誰の戒名でしょう?」と当てるといったもので、美空ひばり、石原裕次郎、樹木希林、三島由紀夫、武田信玄などの戒名がご紹介されました。日本でいちばん長い戒名は徳川家康の「安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士」だそうで、マニアックな戒名トリビア(?)が披露されて楽しい時間でした。

その後、井出さんと檀上のお坊さんとでクロストークが始まりましたが、これは井出さんから戒名にまつわる素朴な質問(「戒名のお布施はもらってますか?」など)が投げかけられ、真言宗、日蓮宗、浄土真宗、浄土宗の各宗派のお坊さんが、その質問にお答えしたり、戒名にまつわる様々なエピソードを話していくという時間でした。

正直なところ、僕はいま41歳ですが、人生でただの一度も戒名について深く考えたことなどなく、亡くなった自分の祖父や祖母の戒名も全く知らない…と戒名に全く興味関心がない自分を発見して、ボーッとトークを聞いていたのですが、会場の参加者のみなさんは、熱心にうなづいたり、メモを取ったりしていて、その熱量にちょっと驚いていました。

その後、戒名とは何か?ということが、いまいち腑に落ちないままに、クロストークが終了して、休憩時間を挟み、後半の「生前戒名ワークショップ」が始まりました。

 

これは100名の会場参加者を5、6人で分けて、17組のグループにして、グループごとにお坊さんが入って、みんなで生前戒名を考えてみようというものです。ぼくは大阪・玉造の真言宗興徳寺の青木隆興住職のグループに入って参加しました。他に4人の参加者がいて、介護系の仕事をしているという50代の女性、元・公務員の70代の男性、町工場で働いていたという70代男性、元・呉服屋という80代男性でしたが、みなさん、僕よりも高齢で、終活に興味・関心がある方ばかりで、戒名に対して悩んでいたり、相談したいというので今日のプログラムに参加したということでした。

それで、生前戒名を考えるに当たって、「自分はどんな性格?」「好きなことや趣味は?」「座右の銘は?」「仕事での思い出や実績は?」といった簡単な質問シートが配付されました。これは要するに自分の人生の来し方を振り返る質問が並んでいて、これに書きこむことで、自分という人間のパーソナリティを言語化(見える化)して、そこからその自分にふさわしい戒名の一字をお坊さんが考えて、自分でも考えてみよう…というものでした。

ぼくは自分の性格を「楽天家」だとか「観光の仕事をしてますが、あちらこちら、フラフラしてます」といったような説明をしたのですが、その言葉を聞いて青木住職から生前戒名として、こんな字はどうでしょうか?と提示されたのは「游」という漢字でした。「遊」ではなくて「游」で、「遊」はまだ地に足がついているのですが、「游」となると、地面からも足が浮いていて、より軽やかに、自由自在に動き回っているという様だそうで、確かにそうかもしれない…と自分のパーソナリティや人生観をズバッと言い当てられたような気がしました。褒められてるのか?貶されているのか?ちょっと複雑な思いも頂きましたが…。

ちなみに介護の女性は「厚」、元公務員さんは「法」、町工場の方は「徹」、元呉服屋さんは「利」の戒名が提案されていました。私見ですが、みなさんのキャラクターを見事に表現しているように感じて、さすがプロは違う…と青木住職の戒名センス(?)に感服しました。こうして参加者全員に青木住職が生前戒名を提示すると、丁度、お開きの時間になって、プログラムは無事に終了しました。

個人的な感想を述べると、戒名というのは一種の「名付け」であり、「見立て」のようなものだと感じました。お坊さん(他者)による「もうひとりの自分」の発見。

世の中には、戒名に懐疑的な人も多いそうですが(そういう自分も戒名をよくわかっていなかったのですが…)、この生前戒名ワークショップは、そういう人ほど経験するべきではないか?と思いました。参加してみて、自分の新しい一面(他者性)を知る喜びや面白味のようなものを感じましたから。

また、自分の亡き祖父や亡き祖母の戒名を調べてみようとも思いました。自分の知っている思い出の中の祖父や祖母とは違う一面が、お坊さんが名付けてくれた戒名から伺えるかも知れません。それは死者と生者との新しい出会い直しでもあり、死を超えた物語のはじまりになるのでは?…と期待しています。

 

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陸奥賢
(観光家/コモンズ・デザイナー)