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9月5日、日本宗教学会で應典院主幹がコメンテーターを務めました。

2010年9月6日、東洋大学で開催された、日本宗教学会第69回学術大会にて、山口洋典・應典院主幹がパネルディスカッションにてコメンテーターを務めました。2007年10月に寺子屋トーク50回記念でお招きした島薗進先生が、現在、日本宗教学会の会長を務められているということもあって、5日夜の懇親会の席上にてご挨拶をさせていただきました。

討論のテーマは「ソーシャル・キャピタルとしての宗教-日韓英米の現状-」で、5月27日に應典院にお招きした稲場圭信先生が代表となっての議論でした。5名の発表者に続いてのコメントでした。なお、発表者とテーマは以下のとおりです。(発表順・敬称略)

(1)英米におけるソーシャル・キャピタルとしての宗教論 (稲場圭信)
(2)NPOが豊かにする宗教性-伊勢神宮だから参加する人々-(板井正斉)
(3)地域の伝統的宗教文化におけるソーシャル・キャピタル(長澤壮平)
(4)マクロデータからみた現代日本の宗教とソーシャル・キャピタル(寺沢重法)
(5)日韓複数宗教社会論序 (濱田陽)

山口主幹のコメントでは、日本の寺院が場所を開かないのは特段の理由によらず、何気なさ(involuntary)にあるのではないか、との指摘が投げかけられました。そして、宗旨や宗派を問わず、それぞれの宗教施設が多様な活動の拠点として地域から頼りがいのある人・場所・知恵を有してきたかの内省を重ねることで、宗教は地域を橋渡しする変革の要素になりうると、應典院を事例に問題提起がなされました。

会場を巻き込んだディスカッションでは、北海道大学の櫻井義秀先生から、「宗教の社会貢献と宗教者の謝意貢献を区別する必要がある」と、鋭い指摘がなされました。つまり、社会活動という行為と社会貢献という意味を、区別して議論しなければならないということだと捉えました。

今後、應典院では実践の意味を探り、今後の展望を検討する上で、宗教の社会貢献というテーマを、寺子屋トーク等の場で深めていく予定です。同時に、今、社会問題化されつつある所在不明高齢者の件など、地域における具体的な課題が丁寧に取り扱われていくべきだと考えています。

追記:10月8日、以下のとおりに、パネル報告の内容が公開されています。ご参照ください。

「宗教と社会」学会、宗教の社会貢献活動研究プロジェクト
「日本宗教学会」第69回学術大会パネル報告
http://keishin.way-nifty.com/scar/2010/10/69-407a.html