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4月10日、被災地に「祈り」を捧げる市民集会を開催

未曾有の災害となった東日本大震災。あまりの被害の甚大さに無力感や虚脱感を感じた方も多かったと思います。同時に、経済合理主義によって得てきた利便性とは、一体何だったのか。幸福や安心ということばがこれほど問われる時はありません。
被災された方々に対して、被災地以外に生きる者ができることは何か。この問いを應典院として受け止め、去る4月10日に「祈りの市民集会」を開催しました。「あの日を、あの悲しみを忘れないためにも、ここからただ祈ること」…集会は、「Pray from West」と掲げて実施されました。
この日、應典院は半日オープンされ、さまざまな場が創り出されました。
午前中は発災直後に被災地に入った写真家から提供を受けた写真のスライド上映を行い、続いて現地で支援活動に取り組む宗教者・川浪剛さんと、研究者・関嘉寛さんからの報告をいただきました。その後、詩人・上田假奈代さんによる手紙と詩の朗読、そして集会の呼びかけ人を代表して秋田光彦住職から、この場に込めた趣旨が伝えられ、地震発生時刻を前後して、311本のろうそくによる献灯と、参加者の皆さんによる献花の時間となりました。その後はNPO法人アートNPOリンクによる「アートステージ」として、舞踏家の山田珠美さんの踊りと、現地の劇場支配人の取材映像の上映、そして改めて「表現とは何か」を語り合いました。最後は冒頭で上映した写真を撮影された山田直行さんによる講演で幕を閉じました。
終了後、参加された方から「こういう場があると、胸騒ぎが収まる気がします」といった声をいただきました。「救われた気になる」とも。これから日本社会は大きく変貌していくことでしょう。その構想を考え抜くためにも、祈りは出発点として欠かせないものだと思います。
引き続き、應典院ではこうした場を定期的に設けていく予定です。この災害を忘れないために、またそのために、お寺でできることをこれからも探り、かたちにしていくつもりです。