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7月30日 エンディングセミナー2011最終回

去る7月30日(土)にエンディングセミナー2011最終回「グリーフワークとしての葬送を考える」が開催されました。講師には第一生命経済研究所主任研究員の小谷みどりさんをお迎えして、日本人の死生観や葬送の在り方とその変容について、最新のデータと国際比較を交えながらエンディングデザインについてお話いただきました。

前半部では、統計データを参照しながら、高齢者の死の増加、多死社会、病院死の増加など現代の日本社会にみる葬送の変容と家族の在り方の変化について解説いただきました。また欧米との比較の観点からは、日本人特有の「人に迷惑をかけない死に方」を求める傾向や、死別の悲嘆からの立ち直りが比較的早いことなどが指摘されました。小谷さんは、これらの背景には、日本社会が古来より受け継ぐ「死者が文化的に亡くならない」風土にあると説きます。つまり、お墓や仏壇にむかって死者に話しかけたり、好きなものを備えたりする慣習によって、死者と一緒に暮らしているという感覚が日本人の中には強く刻まれているということです。この日本独自の「死者と共存する装置」が、葬送つまり亡くなった人と向き合う時間を創出し、その時間がグリーフワークとなって死者ともう一度新しい関係を結んでいくということにつながるのはないでしょうか。

後半部では秋田住職との対談形式で、東日本大震災における犠牲者の葬送についても言及されました。そこでは、今回の震災を経験したことで、私たち日本人の葬送に対する意識が大きく変容したことが確認されました。参加者の方からも「お通夜や葬儀という葬送儀礼があることで、死を受け入れる準備に心をこめることができたことに助けられました。」とのご意見も。愛する人の看取りをどう迎えるか、そして自分の死をどう迎えてもらうのかは究極のテーマであり、その意味でエンディングデザインの重要性が再認識された機会となりました。