1/14コモンズフェスタ2013 解剖!台湾雑誌ビックイシュー
自分でやりながら妙な感想なのだが、應典院にいると、しばしば時代の生肌を露出させるような瞬間に立ち会うことがある。今日の「解剖!台湾雑誌ビッグイシュー」がそう。「あなたの知らない台湾」と称して、同誌を通じて編集やデザイン、アート、社会問題などを語りあう。台湾の編集部とはスカイプでつないだ。應典院の若いスタッフ小林瑠音が企画したものだ。
内容ももちろん刺激的なのだが、連休の最終日、夕方1630スタートのこの場に、50人を超える若者が集まること自体、私には小さな驚きだった。皆20代あたりで、ファッションセンスがよく、女子率が高い。いわゆるデザイン系のように見えるが、社会問題にも関心が強く、ホームレスや貧困などのワードにも反応する。「運動」という言葉につきまとう(われわれの世代特有のものかもしれないが)組織的なメッセージより、個人が社会を相対化して、ゆるやかにコミットしようとしている。そんな印象だ。彼らを、ソーシャルネイティブというのだろうか。
最後に遅れて入ってきた女性は、若い母親だった。乳児を抱いたまま、パイプ椅子にすっと座り、スカイプの中継に目を凝らす。会場の空気に何の違和感もなければ、その母親もひとりのオーディエンスであること以外何も主張しようとしない。ここに、こうしているのが当たり前だというふうに。私には、それがひどく清々しく、小さなときめきさえ感じたのである。
文:秋田光彦
※当日の詳しい内容や、参加者コメントなどは企画者の山本加奈子さんがレポートとしてまとめてくださっています。 Offshore