12/21 コモンズフェスタ2015「震災からの定点観測展~大仁節子さんの視点に今を重ねる写真展~」を開催いたしました
12月13日から25日に2F気づきの広場にて「阪神・淡路大震災20年 震災からの定点観測展~大仁節子さんの視点に今を重ねる写真展~」が開催されました。お墓の見えるガラス面と反対側の壁面に1995年の震災後の写真から97年から2000年に撮影された写真、そして2013年の神戸市灘区、中央区の様々な写真が展示されました。
21日に行われた震災からの定点観測展ワークショップでは、立命館大学減災×学びプロジェクトのメンバーを中心に参加者と交流しながら進みました。
震災が起こった「その時」あなたはどこで何をしていましたか?という應典院主幹・山口洋典の投げかけから、実際に被災地にいらっしゃった、人と防災未来センターの元職員である高森順子さんのお話や、阪神・淡路大震災が起きた時は生まれて間もなく、両親から話を聞いただけという学生の方のお話など、対照的で印象深いお話をお伺いしました。
その後、プロジェクトのメンバーから、今年度撮影した定点観測の写真を見せていただきながら、撮影時のエピソードをお伺いしました。そのお話からは、会ってお話したことはないけれど、定点観測を通して感じた大仁さんへの思いが伺えました。
お話をお伺いした後は、実際に展示を見ながらそれぞれが時間の経過に思いを馳せ、大仁さんのように今年度撮影した写真にキャプションをつけるワークを行い、震災による喪失を追体験する機会となりました。
あなたにとって、震災とは?という最後の投げかけには、「私の体験と誰かの体験が交わる基点」「遠い存在。だからこそ、近いものとして意識しようとする。」「気持ちが震え、いてもたってもいられなくなる」など、それぞれの震災に対する思いが語られました。
形や思いが違えども、大仁さんからのバトンは「時間」と「いのち」を感じるものでした。
今後も定点観測活動が継続されていく事を願っております。
「写真を通じた<あの日の神戸>への時間旅行」
2009年、神戸の自費出版専門店、友月書房から『翔け神戸』という名の本が世に出ました。出版したのは当時85歳の大仁節子さんでした。
神戸市東灘区の森南町に長らく住んでこられた大仁さんは、阪神・淡路大震災でご自宅が全壊されました。大仁さんは思い出のつまった風景が一変したまちを、「瓦礫を処理してしまったら、その懐かしい家や、街並みが消えてしまう」(『翔け神戸』「あとがき」より)との思いから記録することを思い立ちました。
時は流れて1997年2月、大仁さんは発災直後に撮影した場所を再訪し、復旧から復興への変化がわかるよう「定点撮影」を始めました。
さらに時は流れて2013年、神戸市灘区の人と防災未来センターの資料室に勤務していた高森順子さんが、『翔け神戸』の存在に着目しました。震災から20年という区切りのよい年には多くの取り組みがなされると思われるものの、災害の悲しみや災害からの語り継ぎは、区切りの良し悪しとは関係なく行われてよいだろう、そうした思いを抱いたためです。
そこで、高森さんは、毎年、人と防災未来センターの資料室を学びの場として活用してきた立命館大学の減災×学びプロジェクトの担当教員に「定点記録の活動の再開」を提案しました。そして、2014年夏から、立命館大学の学生たちが神戸を訪れ、1995年と、1997年から2000年に撮影された写真と比較できる、神戸の今を記録し続けることになりました。
2013年12月には人と防災未来センターで、その後2014年2月からは仙台のせんだいメディアテークにて、大仁さんの写真と現在の神戸とを比較するパネル展が開催されました。