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2018/3/16 應典院寺務局:「葬式をしない寺」が葬式をする!?~應典院ポスト20年プラン発表~

再建20周年記念シンポジウム開催

去る3月2日(金)、浄土宗應典院再建20周年記念シンポジウムを本堂にて開催し、約100名の参加者で満堂となりました。日本を代表する宗教学者である島薗進さん(上智大学グリーフケア研究所所長)、スピリチュアルケアに従事してきた浄土宗僧侶の大河内大博さん(願生寺住職)、また当シンポジウムのコーディネーターも兼任された大谷栄一さん(佛教大学教授)を登壇者にお迎えして、この20年間「葬式をしない寺」として應典院が宗教界に果たしてきた役割を振り返りました。

大河内さんからは、社会の苦の現場に宗教者がいかに関わることができるのかという、秋田光彦住職の「挑発」をこの場から受け続けたこと、また自分自身が寺の外に出て行う活動に対しての「座標」を示していただいたとコメントがあり、一方の大谷さんは「都市型寺院」「市民との協働」「宗教の社会貢献」など様々なキーワードを提示しながら、これまで應典院が各メディアで頻繁に取り上げられてきた側面を分析、社会関係資本としての宗教の役割を強調されました。そして島薗さんには、宗教をめぐる世界的潮流の変遷や、阪神・淡路大震災と東日本大震災のボランティア活動のお話を通じて、宗教者のあり方について触れていただきました。伝統宗教からスピリチュアルへの移行が進んでいるように見えるが、その現象もまた宗教回帰であり、市民が伝統仏教を学ぶ意義がますます重要なものとして問われることになると、應典院という場への期待をお話いただきました。

シンポジウムの最後に、秋田光彦住職から「應典院ポスト20年プラン」が発表されました。「葬式をしない寺」として20年間活動をつづけてきた應典院ですが、その第一期の役割を終え、第二期に移行すべき時期が来ているとして、今後の浄土宗應典院事業においては、寺院主体で創造する終活・葬送への取り組みに注力していくことを報告しました。「葬式をしない寺」が葬式をしたら、一体どうなるのか? これまで培ってきたアートや社会活動の視点を取り入れつつ、全く新しい、本来の意味での葬送文化を立ち上げることを見据えて、来年度以降の活動をつづけてまいります。

劇場・アートセンターとしての機能、またNPO「應典院寺町倶楽部」の多彩な活動と並行しながら、應典院の次なる中心軸を宣言したことになります。2018年度中頃には、他寺院と連携して「お寺で行う終活祭(仮称)」を開催予定であることも発表いたしました。今後の展開にどうかご注目くださいませ。

人物(五十音順)

秋田光彦
(浄土宗大蓮寺・應典院住職)
大河内大博
(浄土宗願生寺住職  訪問看護ステーションさっとさんが願生寺 共同代表・チャプレン)
大谷栄一
(佛教大学社会学部教授)
島薗進
(上智大学グリーフケア研究所所長・東京大学名誉教授)