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2018/9/25-26 應典院寺務局:「おてら終活祭」を開催いたしました。

去る925日(火)・26日(水)の2日間、浄土宗應典院にて初めての「おてら終活祭」を開催いたしました(共催:一般社団法人お寺の未来)。はじまりと終わりは大雨に見舞われましたが、多彩なプログラムに、延べ570名もの方々が足を運んでくださいました。ご協力いただいた皆さんに心より御礼申し上げます。

「おてら終活祭」は、本寺である浄土宗大蓮寺と連携しながら、應典院が今年度から新たに取り組んでいる「おてら終活プロジェクト」のキックオフとして開催したものです。一人ひとりが自らの死に取り組む「終活」にあたって、経済的な安さや自分らしさだけを基準に物事を判断するのではなく、仏教やお寺が長い年月をかけて培ってきた智慧、また葬送儀礼の伝統をもってその参考にできないか。仏教を押しつけるのではなく、まずは考え方や大事にしているものを知っていただくところから、お寺との関係をはじめられないか。そんな問題意識から本プロジェクトにのぞんでいます。当日は超宗派の僧侶の皆さんにご協力いただき、すばらしい場をつくることができました。当日の様子を簡単にご報告できればと思います。

まずは、僧侶と語り合う、相談できる場づくりを行ったプログラムとして、1日目は若手僧侶を中心にした「あんのんトーク~若手僧侶とゆるやかに語ろう~」、2日目は「まいてら」ベテラン住職の皆さんにご協力いただいた「お坊さん終活よろず相談」を行いました。やはり大半の参加者は、そもそも菩提寺との付き合いもなく、お坊さんに相談する機会がないそうです。お葬式やお墓に対する悩みから、仏教のおしえやその生き方について知りたいという方まで、さまざまなご関心をお持ちの方が参加され、ゆっくりと切実な思いを語られていました。

次に1日目のみのプログラムとして、真言宗の大西龍心さんにご協力いただき、精進料理を体験していただく時間もありました。仏教における精進料理の位置づけ、また食作法にはどのような意味が込められているのか、大西さんの笑いもまじえたトークで和やかに学びました。最後は、実際に食作法をしてお料理をいただくことで、参加者も色々な思いを持ち帰ってくださったと思います。

2階本堂では、複数の大がかりなプログラムが開催されていました。まず実際に葬送儀礼を知っていただく機会として、1日目の「模擬葬儀 大型ワイド:ドラマ劇場・お葬式のすべて」では、應典院職員一同がお通夜の流れを前代未聞の演劇形式で再現し、式次第や祭壇、お布施などに対してお坊さんや葬儀社は何を大事にしているのか、また遺族にとって大切と思われる構えは何かについて、秋田光彦住職によるコメントつきでお伝えしました。

また2日目の「宗派別葬儀デモンストレーション」では、浄土宗・真言宗・臨済宗・日蓮宗の葬儀の一部を順にご披露し、場面ごとの意味や、宗派ごとの力点のちがい、それに基づいた死生観の有り様をそれぞれ導師から伺いました。実際の葬儀でないとはいえ、参加者は荘厳な雰囲気と、それぞれの宗派の個性あふれる展開に、息を飲んで葬儀を見守られているご様子でした。

 両日とも最後は、本堂にてトークセッションを行いました。1日目の「お寺で終活、リバイバルプラン」では、小谷みどりさん(第一生命経済研究所主席研究員)と井出悦郎さん(一般社団法人お寺の未来代表理事)をお迎えし、今後の大量死と家族観の変容、お寺やお坊さんに求められる資質など、葬送やお墓の状況をめぐって秋田光彦住職とともに語り合いました。とりわけ、お寺やお坊さんに批判的なコメントを連発されながらも、生き方に仏教が反映されていることを窺わせる小谷さんの佇まいが印象的でした。

一方、2日目には「まいてら」のご住職皆さんにご登壇いただき、おちあやこさん(タレント・終活カウンセラー)の司会による「お坊さんぶっちゃけトーク」を開催。こちらもおちさんから鋭い突っこみが入る中、お坊さんや終活に対する現実的な質問がたくさん取り上げられ、真剣に軽やかに、ぶっちゃけながら応答されるお坊さんの姿勢が好評でした。

「次回の開催はいつですか?」と、すでにたくさんの声をいただいております。おてら終活祭の次回開催は未定ですが、当日にもお伝えしているように、ここから「おてら終活プロジェクト」の全容が徐々に明らかになってまいります。すでに開催をつづけている「おてら終活カフェ」に加え、仏教のおしえを手がかりに生と死の宗(おおもと・根本)を学ぶ「おてら宗活塾」も12月からはじまります。新たな時代の弔いの文化とコミュニティを、お寺が核となって創りあげる時代を、皆さんと一緒に作っていければと念じています。

別途、詳細に関するコラムにつきましては、後日改めて更新する予定です。どうぞお楽しみにお待ちください。