2018/12/22-12/24 二朗松田:MEHEM『鐡の夢果て』レビュー
去る12月22日から24日に、MEHEM『鐡の夢果て』(應典院舞台芸術祭Space×Drama×Next2018)が開催されました。緻密な構成力、また脚本を支える舞台美術・音響・照明などスタッフワークが光る、若々しくも創作力を感じる作品でした。今回は、デザイナー・脚本・演出家の二朗松田さんにレビューを執筆していただきました。
12月23日、クリスマスのイブイブ、
MEHEM「鐡の夢果て」と彗星マジック「ポストグラフ」、
奥さんと2本はしごで観てきました。
奥さんは有元はるかという演劇人で、
元々ファンタジックな劇団に所属していた人間です。
「鐡の夢果て」を観た彼女の感想は、
「分かるよ。」
とのことでした。
スチームパンク。
近未来SF。
1800年代後半っぽい衣装。
マイムで表現される宙空のキーボード。
クールなメガネ男子。
美人になった幼馴染。
それらのイメージは、
全てどこかで観たような既視感に溢れている。
やりたいことは十二分に「分かり」ます。
そこへと必死に手を伸ばす感覚も。
ただ、おじさんとしてはその既視感が邪魔をし
その世界に没入することは難しく、
既視感を拭うほどの脚本の妙や演出技巧は感じられませんでした。
ごめんなさいね。
(音響、照明、美術、素晴らしかったです)
ですが。
ラストシーンでちょっと
それらが反転するような展開があるんですよね。
二つの世界、双方に主人公がおり、
お互いの世界を夢で覗き見、
その夢に影響され、それぞれ自分の製作物にそれを反映させる、
しかし……、
というのが、この作品の大雑把なプロット。
結果、それぞれ主人公たちが、
(特に近未来の方の人が)
夢からの影響を拒否、
完全オリジナルでの製作を試み、
その成功を示唆したところでお話は終わる。
もし、作品とは作者の所信表明だ、と考えるならば。
この夢の世界(スチームパンク、近未来SF)は、
所詮過去観た何かに影響されたものでしかない、
これからは本当にオリジナルなモノを作る、
あのラストは、そういう覚悟のメッセージとも受け取れます。
そう考えれば、私が見て取れた既視感は、
わざと設定されたものだったのかもしれません。
次回作、MEHEMさんがオリジナリティで勝負するというのであれば、
パロディとオマージュとサンプリングとインスパイアの
パッチワークでモノ作ってるくず鉄拾いのような私ではありますが、
是非また拝見したいと思います。
それでは皆さまよいお年を。
(↑いつ掲載されるかとか考えない無神経な締め)
二朗松田(カヨコの大発明)
《これからの予定》
【出演】
新春大喜利会2019
2019年1月14日(月祝)18:30
インディペンデントシアター2nd
入場料1800円
ご予約→
https://www.quartet-online.net/ticket/oogiri2019
【脚本・演出】
第4回30GP第1ラウンド
「俺たちの地球空洞説vsS☆J Lab×二朗松田」
S☆J Lab×二朗松田『屍体は歩かない』
2019年1月25日 19時〜
インディペンデントシアター2nd
ご予約→
https://independent.base.ec