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2019/1/19 白井宏幸:『表現者たちのカタリバ~ハラスメントのないチーム作り~』(コモンズフェスタ2019)レビュー

去る1月19日に、トークサロン『表現者たちのカタリバ~ハラスメントのないチーム作り~』(コモンズフェスタ2019)が開催されました。安心・安全な環境で表現活動を継続していくために、携わる人全員が心がけるべきことは何なのか、専門家を交えて一緒に考えを深める時間でした。ステージタイガー所属俳優の白井宏幸さんにレビューを執筆していただきました。


りんごのうたを拝見し、お昼間の用事を済ませ、最後のコモンズフェスタに戻ってきました。1月19日。プラズマみかんという劇団を主宰する中嶋悠紀子さんが企画する、ハラスメントについてのトークサロン。昨今、話題になってきているハラスメントについて、どう立ち向かっていくか、どう接していくか、という企画。

特徴的な出来事がありました。
3人~4人のグループに分かれ、どういう原因でハラスメントが起こるのか、どういった時にハラスメントが起こるのか、どういう関係性の時にハラスメントが起こるのか、そういった題目で、グループトークを実施していました。
どうしたって、ハラスメントをする側が悪い、とは思うのですが。「ハラスメントを受けてしまう側の人に何らかの原因はないのだろうか」そう言った趣旨のことを発言した際に、発言者である僕に強い敵意が向けられた瞬間がありました。少なくとも僕はそう感じました。

確かに失言ではあったと思います。
ただ、僕自身も劇団に所属しているため、ある程度の協調性というものが必要になると考えております。グループトークの中で、表現者がハラスメントをする際に「あなたのために」という言い訳を持って、ハラスメントをする場合があるそうです。
例えば、演技指導。お客様のため、作品のため、みんなのため、あなたのため、それらの「ため」に指導がなされる場合、それが受け手によってハラスメントとされることがある。
もちろん暴力はいけません、しかしながら、傷を負うのは身体もこころも同じもので、言葉によって心に傷を負う可能性はあります。

ただ、作品作りに必要な指摘が、できなくなってしまう、ということも起こりうるわけで。
指摘してもなおらないばかりか、そういう努力をする姿が見られない、という時に、過剰な指摘がハラスメントに当たるのであれば、作品の中で、その人の担う部分を諦めなければいけなくなる。そう言ったケースもあるのではないかと。
ただ、ここで書きながらも考えていることは、いずれの感覚も、その人の主観である、ということです。「立ち直れないほどの叱責を受けた」という主観と、「作品のための指導であり、個人攻撃ではない」という主観。ディスコミュニケーションが招く平行線。

例えば、指導をする場合に、過ちを犯した人がいた場合、その過ちに対する怒りがあるのみで、過ちを犯した人(人間性)に対する怒りではない。そのはずなのです。叱られた立場の人が、叱られたという経験だけを持ち帰り、傷を負ってしまう。加害者にならないために、被害者にならないために、どういう立ち位置でいるようにすればいいのか。常日頃から、相互いにコミュニケーションを取っていくことが大切だという、通り一遍の結論にしか辿り着くことができませんでした

まだまだ、今回のことについては考えを止めるわけにはいかなさそうです。

 

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白井宏幸

おそらく関西小劇場で唯一カンヌ国際映画祭のスクリーンに映った俳優
ステージタイガー所属俳優

SHASEN × ステージタイガー
『スロウステップスマイル ~笑わない少年と家出少女~』

【日時】
2019年2月2日(土)~3日(日)
2日(土) 19:00~
3日(日) 13:00~ 17:00~

【会場】
あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階 近鉄アート館

【料金】
一般 前売2,500円 当日3,000円
学割 1,000円(大学生含む、要学生書提示)
※ 全席指定席

【特設サイト】
http://st-tg.net/_sp/sss/

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白井宏幸
(俳優、ステージタイガー所属)