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2018/12/17-19 秋田光軌:Forum Enters The Theater#2「カーニバル」を開催いたしました。

去る12月17日から19日、應典院・気づきの広場にて、應典院寺町倶楽部主催事業であるForum Enters The Theater#2「カーニバル」が開催されました。ゲストとして登壇した浄土宗應典院の秋田光軌による開催報告です。


Forum Enters The Theater(FETT)とは、演劇公演に加えて、各分野から専門家を招き、それぞれの智慧をもって演劇作品や登場人物の思いを紐解くもの。第一部Theaterが公演、第二部Etudeがゲストと登場人物による即興劇、第三部Forumがゲストや役者、演出家らによるトークシンポジウムという構成で行われます。今回の「カーニバル」では、應典院職員の「現場の智慧」を舞台に招き入れるということで、私もゲストとして初日に登壇させていただきました。

第一部の公演「カーニバル」(脚本・演出:戒田竜治)自体は、丹下真寿美さんによる一人芝居で展開し、「ツマの試行錯誤がぶんぶん空回りコメディ」というチラシの触れ込み同様、序盤から夫らしき人物とのコミュニケーションの不和や、それを「約束」によって解決しようとする妻の悪戦苦闘がコミカルに描かれます。しかし後半で示されるように、どうやら何も知らず結婚した夫と妻は、実は血のつながった兄妹関係にあることが途中で判明し、その事実によって、夫はすでに妻に殺されたらしいという背景が見えてきます。それまでコミカルな悪戦苦闘に思われた演出が、一転して肌寒く感じられたところで、30分の物語は幕を下ろしました

第二部では、私も舞台上にあがり、丹下さん演じる登場人物と同じ世界の中で振る舞います。私の役は普段通り「僧侶の秋田光軌」ですが、とはいえ即興劇なので、そこで語られる登場人物の苦悩に、はたして僧侶としてどう接することができるか。こちら側も日頃の心がけを幾分試される気持ちになります。血縁のある者と結婚してしまった女性の訴えを聞きながら、少なくとも浄土仏教の視点からは、血縁がある者同士の婚姻を「地獄行きの大罪」として断ずることはないということ、むしろ、そうした過ちや後ろめたさを抱えながらも、たった今からどの道を選んで進んでいくべきなのか、その選択に自覚的であってほしいというメッセージを、とっさに私からは伝えたように思います。

そして第三部のForumでは、丹下さんや戒田さんをまじえて、トークシンポジウムを行いました。第一部・第二部の内容を受けて、人類にとって根源的なタブーのひとつである「近親相姦」の話にも触れながら、法の秩序と人間の煩悩との噛み合わなさ、仏教では煩悩をどう考えるのか、現代の埋葬のあり方はどのようになっているのか、といった話をしました。應典院の現場で体験するエピソードなどをまじえながら、丹下さんや戒田さんからの突っこみもあるおかげで、ずいぶん楽しく仏教や埋葬についてお話できた気がします。

上演・即興劇・トークシンポジウムと、それぞれの切り口から登場人物の心情を掘り下げ、想像し、そこから参加者の人生にも関係するような専門的視点をお伝えする。言うなれば「Forum Enters The Theater」の試みは、演劇の中の人物とさまざまな方法で出会い、それによって少しだけ自分の立ち位置を変えてみること、そんな誘いをしているように思いました。

人物(五十音順)

秋田光軌
(浄土宗應典院主幹、浄土宗大蓮寺副住職)