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2019/7/2 應典院寺務局:おてら終活カフェ第10回「すまいるポストが届ける、いのちのぬくもり」を開催いたしました 。

7月2日、應典院2階気づきの広場にて、おてら終活カフェ第10回『すまいるポストが届ける、いのちのぬくもり』を開催致しました。今回ゲストにお招きしたのは、株式会社アートプラス代表取締役の道本ゆき子さま。生前に綴ったメッセージをお亡くなりになった後にお届けするメッセージサービス「すまいるポスト」に取り組まれています。(すまいるポスト:https://smilepost.net/app/top.jsp

 

まず最初にお聞きしたのが、道本さんが「すまいるポスト」の取り組みを始めるに至った経緯です。ドイツに通算10年滞在されていた道本さんは、日本とは異なる社会保障の在り方に触れたことから「人は協力し合わないと生きていけない」と強く感じたことを語られました。

そして、自身の旦那さまを突然亡くされたご経験。「ただ、キミはキミの人生を生きなければいけない」という言葉を遺されたなかで、たった一度しかない命や人生において、与えられた身体や時間で何ができるのか。向き合い、見つめなおす日々を経て、”たったひとつ”持っていけるとしたら何を思うか?という問いを持つに至ったと、道本さんは話されました。

道本さんの人生観と深く結びついたサービスである、すまいるポスト。何よりも「相手を想像して、気持ちを言葉にする」ことから、「実際に書いてみようとするとなかなか難しいけれど、書く相手を想像しているうちに、書いてて幸せな気分になるんです」と語る道本さん。

あくまで遺言書とは異なることから、「役に立つ」とは少し視点の違う「大切なこと」として、すまいるポストは取り組まれています。(でも、サービスとしては運営管理が徹底されており、サーバー上の情報は国家機密レベルの保護とのこと!)

大蓮寺・應典院住職の秋田光彦住職と道本さんの対談のなかでは、「言葉にできない」ということがキーワードとしてあがりました。

「お坊さん的には」と語り始めた秋田住職。「言葉にするための」すまいるポストの取り組みから、「あえて言葉にできない、定義できない思いや気持ち」と向き合うことについて、話されました。

印象的だったのは、ある年のお盆に夢で、亡くなられた旦那さまと出会われたという道本さんのお話でした。夢のなかで「すばらしい人生だったよ」との言葉をかけられたという道本さん。その語りを聞くなかで、私たちは亡くなった方とどのようにつながっていくのか、話は進んでいきました。

意識的にせよ無意識的にせよ、私たちの根底には何かしらの死生観と宗教観があるものです。秋田住職が取り上げられたのは、「スピリチュアルグロウ(霊的成長)」という言葉でした。何かを失ったという経験が、自分の人生を再設計していく。道本さんからお話しいただいた内容もふまえ、参加者それぞれの方が、思いを馳せる時間となりました。

最後は参加者同士で感想などを語り合う時間。すっかりおてら終活カフェ恒例の風景となりました。

「すまいるポスト」という取り組みを初めて知った参加者の方が多かったこともあり、今回はよりはっきりと「自分はこう思う」という語りをシェアする機会となりました。(なんと今回は珍しく、男性の方に多く参加いただきました!)

「つまり、あの世から届くメッセージなのね」「遺言とは違うってことは実務的ではないよね」「メールよりも、やっぱり郵送の手紙やな」…それぞれの方によって受け取り方は異なれど、テーマをきっかけに自分だったらどうするか、自らに問いかけて他の方に話すその光景は、私たちが終活プロジェクトのスタートとして開始した「おてら終活カフェ」にて目的としていたものの一つだったように感じました。

おてら終活カフェは次回9月開催より、少しカタチを変えての開催となります。
(次回概要:https://www.outenin.com/article/article-14553/
主にともいき堂にて、應典院スタッフや僧侶、時にはゲストを交え、「終活」をきっかけにゆったりと語り合う時間です。これまでのカフェで取り上げたテーマもふまえ、共に気づきと学びを深めていく、時にお互いに癒やし合う場となれば幸いです。

皆さまのお越しを、お待ちしております。

人物(五十音順)

秋田光彦
(浄土宗大蓮寺・應典院住職)
道本ゆき子
(株式会社アートプラス 代表取締役)