2019/9/6-8　たかはしみほ：虚空旅団『Voice Training 2019』（應典院舞台芸術祭Space×Drama×Next2019）レビュー

虚空旅団さんのVoice Training 2019を観てきました。

ヴォイストレーニングの教室を運営するスタッフと参加する人たちの人間ドラマを描いていました。
作・演出の高橋 恵さんがとても丁寧に作品をつくっていて、細部までこだわりとか作品への愛着が役者のみなさんにも浸透しているようで、観てるわたしまでそれぞれの役柄が愛おしく感じました。
役者のみなさんの自然体の演技のおかげで、それぞれの悩みや葛藤を身近に感じることができ、時には応援したくなったり、共感したり、拍手したくなったり・・・
なんとなく知り合いを見守るような気持ちで芝居を観ることができました。

今回のストーリーでは、ヴォイストレーニングに来ていた生徒全員が、自分の話し方が上達することも、自分の目標を達成することもできないと諦めてしまっていました。
世の中では、自分も他人も信じられないから期待しない。そんなふうに生きている人がたくさんいると思います。
ヴォイストレーニングのレッスンもそこからスタートでした。

「行動しないと何も変わらないし、今の状況から何も変えられない」と、講師の大迫恭子先生に葉っぱをかけられても、誰も1歩踏み出す勇気が持てない。
そんな生徒たちが変わるきっかけは・・・人の話を聴いて、悩みに触れて、それぞれの気持ちを受け止め合うことで連帯感が芽生えていき・・・
それぞれが、成長するという目標を共有することができたように見えました。

人と関わり、人を知ることで、自分を見つめなおし、自分を知る。
それまでは一人では前に進めなかった自分が・・・今は違う。前に進もうとするチカラが湧いてくる。
自分と向き合う勇気を仲間の存在で得られたうように見えました。

人は悩み多き生き物だけど、それを乗り越える出会いが必ずある。
たとえ輝きを失いそうになったとしても、人との関わりでまた輝くことができるのかなと。

虚空旅団、作・演出の高橋 恵さんのVoice Training 2019は、人の成長を優しく見守るような・・・観るだけでココロを浄化するような・・・

人としての学びを感じる素敵な作品です。