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8月31日、橋本久仁彦さんらによる「プレイバックシアター」を開催。

2010年8月31日、演劇の夏の最後を飾る催しとして、應典院の本堂ホールにて「プレイバックシアター」を実施いたしました。これは即興演劇という手法によって、自らの日常生活のひっかかりを探り当てる取り組みです。進行役を務めた橋本久仁彦さんによると、プレイバックシアターは、参加者相互の「かたち」「位置」「音」の3つの要素によって、日々の暮らしでは気づかない意味を見出すフィールド(場)が生まれるとのこと。橋本さんによれば「自殺願望にある方の治療をする医師が、薬を処方するだけでなく、例えばその方が死を思うときのポーズを3時間してみたとき、医師もまた死にたいと思うようになった」といいます。

もちろん、人の感じ方は多様ですから、全ての人が物事を同じように受け止めるわけではありません。ただ、上に述べた「自殺念慮者に寄り添った医師」のエピソードからは、ある「かたち」と「位置」と「音」の中でしか感じることができない力は確実にある、ということが明らかとなります。

そもそも今回の企画は、秋田光彦住職が橋本さんたちのプレイバックシアターのワークショップに参加したことをご縁に実現しました。應典院での開催にあたっては、プレイバックがフラッシュバックと異なり、瞬間的な回想でなく、ある場面を丁寧に紐解いていく営みであると考え、「人生の分度器」という企画名をつけることにしました。

演じる側と演じられる側の間に一線を引くことなく、むしろ時に引かれる一線が、改めて<わたし>を見つめ直すきっかけをもたらした、そんな場が当日の本堂ホールには生まれました。ワークショップとパフォーマンスの後に開催された橋本さんのトークにて、秋田住職は「都市の片隅で、静かにコミュニティの秘儀を交わすような」不思議な感じを覚えたと印象をことばにされていました。

参加者の皆様からも好評を得ましたので、また、近いうちに第二弾が開催できればと考えております。ご期待ください。