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4月23日~5月8日 After dish 〜皿の後〜 田辺由美子展

4月23日(土)から5月8日(日)まで2階ロビーにて田辺由美子さんの個展「After dish 〜皿の後〜」が開催されました。一見レース編みのような幾何学的な世界観の作品ですが、よく目を凝らしてみるとそれらは魚の骨やにぼしの頭で構成されているという展開に圧倒されます。骨の一つ一つは田辺さんが食べられた後、洗浄、脱脂、乾燥を経て白く着色されるとのこと。しかし決してグロテスクではなく、繊細で美しく、会場からガラス越しに見えるお墓の風景もあいまって「死と生」を想う崇高な時間へと誘ってくれます。
実は骨を作品の主題としてあつかうのは初めてだそうですが、これまでも死生を連想させる身近な素材をモチーフとして活動されてきました。
前作のタンポポの綿毛や今回の魚の骨など、ディテールの制作に費やしたであろう時間を想うと気が遠くなる作品ばかりですが、田辺さんいわく「同じような作業で膨大な時間がかかるんだけど、座禅のようですごく落ち着くし、そこからいろいろ想像する。その意味でセルフメディテーションなんですね。」その緻密な時間が、無機質性と生活感の絶妙な重なりを生み出しているのかもしれません。
来場された方々の反応も様々で、その切り口には3つのパターンがあったとのこと。つまり「芸術的フォルムの美しさ」「博物的な関心」そして「死生観」。いつものギャラリーを一歩出た、お寺という空間での美術表現だったからこそ、ジャンルや関心を超えた様々な出会いがあり、その越境性が作家さんにとっても、鑑賞者にとっても特別な体験となったのではないでしょうか。
4月29日の祝日には、会場で鯛のアラ汁がふるまわれ、新たな小骨たちが増えました。次回は「又どこかの空間で更に増殖させた骨を並べてみたいと思っています」と語っておられました。