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11月24日 コミュニティシネマシリーズvol.18「3.11 A Sense of Home Films」を上映しました。

11月24日、コミュニティ・シネマシリーズvol.18として「3.11 A Sense of Home Films」を上映。この作品、また、「震災に映画は何ができるのか」というテーマへの関心の高さから、110名を超える方々が参加、堂内は満場となりました。

この作品は3月11日に起こった東日本大震災後、奈良県在住でカンヌ国際映画祭新人監督賞を史上最年少で受賞した河瀨直美監督が呼びかけ、世界各地21人の作家がそれぞれ3分11秒の短編映像を制作したオムニバス作品です。
75分の作品は多岐にわたり、台詞のないもの、震災当日を扱ったもの、実際の震災後の映像を使ったもの等、作家の個性とスタイルが打ち出された作品群が集められています。
個々の作家の表現はもちろん、特に印象的だったのが無音のエンドロールです。長い時間、無音の中で流れるテロップ。そこには21の作品について鑑賞者それぞれが思いを返す、静寂な時が文字と共に流れていました。

上映後のティーチインでは、「自分ごと」という言葉をキーワードに、河瀨監督がこの作品への思いを語られました。特にこの作品が9月11日に奈良金峯山寺で奉納上映されたこと、そして参加監督のビクトル・エリセ氏が、「作品を通して自分の想いを皆に伝えられる機会となった」と話された事を例に挙げ、どの監督も皆同じ想いであることなどをお話いただきました。

その後のディスカッションには、この作品にも参加されている映画監督の山﨑都世子さん、なら国際映画祭理事・中野聖子さん、関西学院大学社会学部准教授・関嘉寛さん、大蓮寺住職・秋田光彦にご参加いただき、應典院寺町倶楽部事務局長・山口洋典の司会により、映画製作の背景、製作者としての思い、映画の持つ力などについて議論。それぞれの立場から映画と震災について語られる、短いながらも充実した時間となりました。

最後には、秋田住職が「コミュニティ・シネマとは映画と出会う場の創出。映画と出会い、一期一会を果たしながら私をとらえ直し更新し、成熟していく。それが映画の持っている力。震災に映画は何もできないかもしれないが、場に息を与えることはできる」と、コミュニティ・シネマの意義を改めて確認し、閉会となりました。

鑑賞後、映画を観たその場で想いと感想を共有することで、参加者それぞれが「Sense of Home(家という感覚)」について考え、また映画の持つ力について考える場となったのではないでしょうか。

なお、本企画はJR西日本あんしん社会財団の助成を得ました。