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2017/9/9・25 岸井大輔の基礎戯曲講座 第5回~第7回

〈應典院寺町倶楽部協力事業〉

劇作家・岸井大輔が考えた、独断と偏見による、これだけは読んでおきたい戯曲を1本ずつ読んでいく基礎戯曲講座。毎回、事前に課題となる戯曲を読んできていただきます。講義があり、それからみんなで話します。

<第5回>「エレクトラ~ギリシアは命を問う」

◆開催日 9月9日(土) 14:00~17:00
◆参加費 アーティスト(自己申告制)1回1000円 10回通し5000円
アーティスト以外1回2000円 10回通し10000
別途:500円(お茶とお菓子代)
◆会場 應典院研修室B

◆問合せ 06-6771-7641(應典院寺町倶楽部事務局)

◆詳細・申込み https://www.facebook.com/events/874241222723301/?ref=ts&fref=ts

戯曲講座の第5回です。参加条件は、以下の3つの戯曲のうちのどれかを読んでくることです。(どれかひとつでいいです)
アイスキュロス「供養する女たち」
ソポクレス「エレクトラ」
エウリピデス「エレクトラ」

演劇にもっとも大きな影響を与え続けた古典はギリシャ劇でしょう。ことにエレクトラとその一家の物語はさまざまな時代に解釈を変え上演されてきました。劇を成立させる、共有された物語と習俗の典型とされてきたということです。こんな変な設定の家族がなぜ?という問いをたてたとき、あなたは客になっている。劇場を外から眺めるために、トラジェディーという呪いの構造を一緒に考えてみましょう。

面白さならオイディプス王ですし、命がけならアンティゴネーでしょうけれど、第1回ー4回で一緒に戯曲を読んできた皆様にはこの2作は講座をしなくてもじゅうぶん楽しめると判断しました。基礎戯曲講座の前半、基礎の基礎のまとめの回として、大雑把な西洋演劇史の話もします!

 

<第6回>「世阿弥『井筒』~諸国を夢に見る方法について」

◆開催日 9月9日(土) 19:00~22:00
◆参加費 アーティスト(自己申告制)1回1000円 10回通し5000円
アーティスト以外1回2000円 10回通し10000
別途:500円(お茶とお菓子代)
◆会場 應典院研修室B

◆問合せ 06-6771-7641(應典院寺町倶楽部事務局)

◆詳細・申込み https://www.facebook.com/events/293359074450407/?fref=ts

戯曲講座の第6回です。参加条件は、世阿弥の『井筒』を読んでくることです。この講座はずっと外国戯曲の現代日本語訳で進めてきましたので、今回も現代日本語訳で読んできてください。

能の祖で知られる世阿弥は、失われたものや参加不能な現実を、どうしようもないままに描いて劇を成立させました。劇は人間が現在起こすことなので、多くは、未来が開かれていく状況を扱いますが、世阿弥は演技と戯曲の力で客観的に人間を見るだけで劇になる方法を作り出してしまいます。それは、観客に夢を見させることによって、です。比ゆではなく、本当に。ギリシャは神様落ち、猿楽は夢落ちといってもいいかもしれません。そして、見たことも体験したこともないことを夢に見る方法を模索し作品としました。それは、絵画における浮世絵のように、世界演劇に深く突き刺さり、その構造にまで影響を与えています。演技が通じずとも、いやだからこそ、世界は無責任な旅人のような観客の前にも現れる。

猿楽を扱うのなら演技というかダンス論もするべきですが、戯曲講座なので禁欲します。その代わり、日本や前近代非西洋の演劇的なものたちについて概括して話します。

 

<第7回>「べケット『しあわせな日々』~べケットは何を招いたか」

◆開催日 9月25日(月)19:00~22:00
◆参加費 アーティスト(自己申告制)1回1000円 10回通し5000円
アーティスト以外1回2000円 10回通し10000
別途:500円(お茶とお菓子代)
◆会場 應典院研修室B

◆問合せ 06-6771-7641(應典院寺町倶楽部事務局)

◆詳細・申込み https://www.facebook.com/events/1038915176239064/?fref=ts

基礎戯曲講座の第7回です。参加条件は、ベケットの「しあわせな日々」を読んでくることです。ベケットは日本では人気があるので、入手はそれなりに容易です。

ベケットは、人間が存在するだけで劇になることを示しました。抽象といってもよい切り詰められた表現は現代的な演劇を作る方法を具体的に提示し、思想や芸術全体に大きな影響を与えたといえるでしょう。しかしでは、ベケットが劇に残したものはなんでしょうか。あるいは、そのことで何が提示されたのでしょうか。戦争や差別の極限状態にある人たちにこそ愛されてきた、現代のコメディ王でもあるベケットの見せる存在の様を覗き込んでみたいと思います。

今回は最初に、ベケットのほかの戯曲を、集まった受講者でやってみます。大して動きませんが、そのつもりでいらしていただけると助かります。

 

岸井大輔プロフィール

劇作家
1995年より、他ジャンルで追求された創作方法による形式化が演劇でも可能かを問う作品を制作している。代表作『P』『potalive』『文』『東京の条件』