イメージ画像

2026/9/30 【開催報告】「人と仏教が出会う寺を、どうつくるのか ― 妙法寺のデザイン設計と実践 ―」報告:無垢品 宗生(岡山県浄土宗正覚寺住職)

去る9月30日に、「人と仏教が出会う寺を、どうつくるのか ― 妙法寺のデザイン設計と実践 ―」を開催、横浜の妙法寺の久住謙昭住職と、今回は特別に妙法寺の広報・安田ひとみさんもご参加くださり、3時間にかけて取り組みをお話くださいました。全国各地から、それぞれの課題意識をもったお寺関係の方々が21名集い、熱量のある交流が生まれました。
このたびは、無垢品 宗生さん(岡山県浄土宗正覚寺住職)に当日についての報告をご執筆いただきました。


前日までの雨から一転して、晴天に恵まれた9月の最終日に、表題の講習会を目的に大蓮寺様を初めて訪ねました。
私は昨夏、それまで勤務していた東京の寺を退職し岡山の寺に入寺した新米住職です。

この度、東京時代にもお世話になっていた横浜妙法寺の久住住職と広報の安田さんが来阪されるとsnsで知り、「岡山からなら行ける!」と急遽思い立ち、3日ほど前に申し込みを致しました。
久住さんと安田さんとは10年程前に、私が当時勤めていた観光寺院の仏像見学に来てくださった折に、拝観説明を担当したご縁があります。その当時も「専属広報」という職員がいらっしゃることに「進んでるな」と驚いた記憶があります。
その裏方である安田さんが、表に出てお話しになる機会ということで、どのようなモチベーションで寺院の「広報」を務め、住職を支えているのかを新米住職としては是非とも伺いたいと思ったのでした。

第一部は、秋田住職から本講習会の意義として「ただ成功例を聞く場ではない」こと、そして「妙法寺になれるわけでもなく、なる必要もない」とのお言葉があった上で、まず一つめには「なぜそうしたのか」、次に二つめには「人とお寺を繋ぐ架け橋を探す」、そして三つめには「住職自身が他者に開かれているか」というテーマを軸に聴講してほしいとご提示がありました。

久住さん自身も「思いを話すのは初めて」と緊張されているご様子でしたが、住職就任からの葛藤、安田さんとの出会い、現在までの歩みを順にご説明くださいました。
そこでの「いろいろな変革を覚悟を持ってやった」という言葉は、重みや説得力もあり身に染みるものでした。

続いて安田さんの発表では、広報という立場から見た寺院運営の実際が語られました。
初めて表に出て話すと仰っていた安田さんですが、明瞭な発音と速度で、非常に聞き取りやすい話し方でした。
当初は派遣社員として、限定的な責任感で仕事をしていたこと、創成期は試行錯誤や苦労の連続であったこと、などを淀みなく話され、どのように住職と伴走してきたのかを垣間見ることが出来ました。
「お寺が困っていること」と「人が求めること」は全く違うという「起点のズレ」を指摘し、住職と「対話の反復」をしながら、一つずつ解決していくことを繰り返して来られたとのこと。
また批判などは全て「住職が矢面に立って受け止めてくれた」という感謝の言葉もあり、覚悟を持った住職との信頼関係を感じさせるものでした。

また第二部では、13年間の歩みを共に支えて来られた「まいてら」の井出さんから見た、妙法寺やスタッフの方々の進化を客観的な立場で話されました。
井出さんの分析で記憶に残ったのが「妙法寺は学習する組織」であること。共に学び、チームとして役割を果たすことが、熱量を共有する一体感に繋がっていくことを実例を持って再確認致しました。

私なりにまとめると「妙法寺の広報」とは、住職の思いや悩みを聞き、対等なパートナーとして対話し続けること。世間代表としての安田さんが、外部の視点から小さなことでも忖度なく久住さんに疑問をぶつけ、その疑問を寺側代表である久住さんが、真摯に聴く耳を持ち、互いに意見を交わし合いながら、思いを形にしていく作業かと思います。

自身に当てはめると、安田さん的な存在は一般家庭出身の妻になるのでしょう。
実際に、素朴な疑問や問いをぶつけられることもあります。
簡単ではないですが、耳の痛い意見に対しても、私自身も他者に開かれた存在であることを意識し続けたいと思います。

終わりに、久住さん、安田さん、大蓮寺様、参加者の皆様、貴重な場を共有させていただきありがとうございました。