イメージ画像

2018/9/12 髙道屋沙姫:SDNオープンセサミ第9回『えーびーがたのひそひそ座談会』レビュー

去る9月12日に、SDNオープンセサミ第9回『えーびーがたのひそひそ座談会』が開催されました。毎月第2・第4水曜日には、SDN2018参加劇団とより近くで時間を共にし、それぞれの劇団の個性を体感していただけます。今回は、かまとと小町主宰の髙道屋沙姫さんにレビューを執筆していただきました。


『青春よ、再び』

『どうしたん?研修室B?』

制服姿の真壁さんが應典院の入り口から私に尋ねる。私が『いや、レビューを書きに来ました』というと、真壁さんは『研修室B?』と再度尋ねた。

真壁さんに初めてお会いした時『タメ口でいいよ、私そういうの気にしやんから』と平然と言い放たれたことを思い出した。私が『いや、それは……』と言うと『ほんまにほんまに、私もタメ口の方が気楽やし』と。真壁さんにお会いするのは2月に共演した芝居以来だったから半年ぶりに再会したのに、ついこの前まで会っていたかの様な口ぶりが心地よくて不思議な安心感があった。

その後坂本企画さんの『寝室百景』ぶりにお会いする小野村さんともご挨拶をして、案内されるままについて行くと研修室Aの前に着いた。スーツ姿の男性たちが座っている。『こっちの部屋はなんだか難しそうな話しをしそうだなぁ』と思っていると小野村さんから『ここです』と告げられ、『研修室B?』と問われていたから勝手に研修室Bに行けば良いんだと思っていた私は少しだけ吃驚した。

真壁愛さんと小野村優さん、お二人のユニット『えーびーがた』は来年の3月に本公演をされる。『青春』をテーマに掲げているらしい。だから制服姿なのかと合点がいった。参加者は20代の私よりも上の世代の男性が多く、青春は随分まえに通り過ぎたのでは?と失礼なことを感じながら座っていた。

時間になると学校のチャイムが鳴り小野村さんの『起立』の声が響く。この時点で既に懐かしい。真壁さんの『学生当時は自分が青春をしているとは思わなかったが、大人になって振り返ると青春だったと思う』『いまの学生をみると青春だなぁと思う』というお話しからユニット名の由来などを話され、この企画の説明があった。ちょっとした進行のたどたどしさも初々しい感じがして可愛い。『今回はヒソヒソ座談会と銘打っているけれど、要はネタ集めなんですよね』とぶっちゃけたところから話しは始まる。今回の座談会で参加者が話した内容の一部が芝居に使われるらしい。

真壁さんから順番に『仲の良かった友達のこと』や『七不思議』を話していく。話す人は蝋燭の形をした明かりを持ち、自分が話す時に明かりを点け話し終えると明かりを消す。笑えること、少し悲しいこと、今まで誰にも言わなかったこと、忘れていたこと、参加者全員が過去に想いを馳せる。普段は中々聞けない『他人の青春』を参加者みんなで共有した。自分が経験したことではないのに、どの話にも何故か懐かしさ感じる。

酸いも甘いも経験して大人になった人々の青春時代。この企画を通じてまさに『人に歴史あり』なお話を聞くことが出来た。誰のどの話が芝居に採用されるのかも、参加者にとっては楽しみの一つだろう。この企画は来年3月のえーびーがたの芝居を観て、初めて終了するのではないかと思う。お二人が作る作品がより楽しみになった。

 

【レビュアープロフィール】

髙道屋沙姫(たかんどうや さき)

6歳で演劇と出会い、子役として活動を始める。中学から高校まで演劇部に入り、高校2年生で1人芝居の作・演出・出演で学校初の近畿大会出場を果たす。その後、大阪芸術大学舞台芸術学科演技・演出コースに進学するも、19歳で急性骨髄生白血病を発症。闘病生活中様々な人の温かさを知り骨髄移植を経て1年で退院、大学に復学。『かまとと小町』を旗揚げし、復帰一作品目の『MAMMY』で大阪短編学生演劇祭で最優秀賞と観客賞をW受賞。全国学生演劇祭への出場を果たす。以降、『チクっと胸が痛くなることを、クスッと面白く』をモットーにかまとと小町で(番外公演以外)全ての脚本と演出を担当。役者として他劇団に出演するほか、脚本提供、演出、ラジオドラマの執筆やワークショップ講師など活動の幅を広げている。

【今後の出演情報】

満月動物園・羊とドラコ共同製作『愛慾巡遊社』

大阪・京橋にある昭和レトロな空間として注目されるラブホテル【ホテル千扇】にて、複数の客室に短編演劇を配置し、ツアー形式で部屋と物語を巡っていただく作品を【満月動物園】と【羊とドラコ】が共同製作!。各5つの物語を巡るツアーを3ルート同時上演! 俳優演じるツアーコンダクターがご案内いたします。

■演出・脚本

竜崎だいち/戒田竜治

■日程

10月18日(木)21:00【A】
10月19日(金)21:00【B】
10月20日(土)13:00【A】/17:00【B】/20:00【A】
10月21日(日)11:00【B】/15:00【A】

★各回3コースを同時上演[各コース定員10名]

『名残の周遊コース』…全ての回に上演
『絆の遊覧コース』…全ての回に上演
『追慕の漫遊コースA』…【A】の回に上演
『追慕の漫遊コースB』…【B】の回に上演

■会場

ホテル千扇(大阪市都島区東野田町3-7-4)

■料金

前売・ご予約:2,800円
当日:3,000円

■出演

岩切千穂(仏団観音びらき/狂夏の市場)/浦長瀬舞(劇団冷凍うさぎ)/江本真里子/大江雅子/大橋未歩(COMPLETE爆弾)[10/20]/河上由佳(満月動物園)/近藤ヒデシ(COMPLETE爆弾)/杉野叶依/諏訪いつみ(満月動物園)/髙道屋沙姫(かまとと小町)/丹下真寿美(T-works)/ツジコウイチ(コッコア)/西村朋恵(こまち日和)/濱田ひかり/原典子(満月動物園)[10/18・19]/繁澤邦明(うんなま)/松村里美/みず(満月動物園)[10/21]/湯山佐世子/竜崎だいち(羊とドラコ)※五十音順。出演コースはホームページ・フライヤーでご確認ください。

■特設サイト

http://junyusya.fmz1999.com/

■ご予約

https://www.quartet-online.net/ticket/aiyoku