イメージ画像

9月4日、2011年度space×drama協働プロデュース公演、終了。

2011年9月2日~4日にかけて、應典院舞台芸術祭「space×drama」において、應典院寺町倶楽部との協働プロデュースにより、コトリ会議演劇公演9回目「桃の花を飾る」が実施されました。この「協働プロデュース」による公演とは、毎年開催されている上記の演劇祭において、優秀劇団として選出された劇団が、翌年の演劇祭では、主催者側から会場費を補助されるというシステムになっています。これによって劇団は通常、劇場費用として必要とされる部分を制作費に充当することができるため、より深みのある公演に結びつけて欲しい、という主旨での取り組みです。もちろん、経費面での配慮がなされていることが重要なのではなく、そうした「1年後の演劇祭で公演」という条件の中で、適度な緊張感のもと、1年間のあいだの「伸びしろ」を皆さんに示して欲しい、そうした願いも込められていることこそが、事業の意図でもあります。また、space×dramaは参加劇団の代表者が集い、約半年かけて協議をするなかで枠組みが定まっていく「制作者会議」という方法を採っているため、前年度の雰囲気また到達点や課題を十分に認識できている優秀劇団には、次の年における議論を牽引していただきたい、そんな期待もかけられています。

そうした数々の主催者側からの思いを一手に引き受けつつ、演劇祭のトリを飾る公演は、多数の来場者を得て、盛況の中で終えられました。この作品は、ある小説家の物語で、その小説家が紡ぐ物語が作品の中でさらに演じられるという、複層的な構図にありました。題名の「桃」が象徴する、家族の愛のかたち、それが應典院本堂ホール内につくられた高島奈々さんの舞台美術とうまく共鳴して、作品の世界観を訴えかけていたように思います。その「子宮」を想い起こさせる舞台美術の向こうに、阿弥陀仏からのまなざしがあることを思うと、不思議なようで、しかし実に意義深いのかもしれない、そんな思いを感じさせられる公演でした。