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7/11「グリーフタイム」を開催いたしました。

7月11日(土)應典院研修室Bにて、グリーフタイムを開催いたしました。2009年からスタートしたグリーフタイムは、應典院寺町倶楽部協力事業として開催してまいりました。しかし今年度からは体制を新たに、グリーフタイム事務局と應典院寺町倶楽部との共同主催として行うこととなりました。今までグリーフタイム開催時に在居しているスタッフは、グリーフタイム事務局の臨床心理士の方々のみでしたが、これからは應典院のスタッフが担当していることも多くなります。これまでとは少し変化がございますが、今まで通りの場所となるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

グリーフタイムについて

グリーフという言葉の意味は、狭義として「死別による悲嘆」と訳されることが多いですが、グリーフは死別の悲しみに限らず、大切な人やモノを失うことによる反応やその過程のことを言います。家を失ったり、引越しや転校して親しい人と会えなくなったり、生きているけれど離婚や離別で関係が変わってしまった場合など、喪失はさまざまで、グリーフはそういった時に感じるものです。
そして、大切な人やモノを失うことによって、人は様々な気持ちを抱きます。悲しみや怒り、罪悪感や無力感、時には安堵感を抱くこともあります。それらは一人ひとり違い、その気持ちには間違っていたりおかしかったりするものはなく、そのひとつひとつが大切なものです。ずっと続く気持ちもあれば、時と共に落ち着いてくる気持ちもあるでしょうし、何かをきっかけに強く出てくる気持ちもあります。また、生活や価値観にも変化があるかもしれません。失った後の人生を歩んでいく過程もまた一人ひとり違い、そのすべてが大切なものです。

それでも心に対する負担は大きく、すぐに向き合うことは困難なことです。しばらくは、日常生活を取り戻そうと追われてしまったり、無気力になって何も考えたくなくなったりすることもしばしばあるかと思います。
しかし、心の回復とともにグリーフに目を向けたくなっていきます。そういったときに日常の中でなかなか時間が取れないことが多いので、それぞれの人にとって大切なグリーフを丁寧に扱える時間と場所をおいているのが『グリーフタイム』です。無理やり自分の気持ちと向き合ったり、無理やり忘れたり、乗り越えようとするものでもなく、ちょっと立ち止まって、その時々の自分自身を静かにそっと見つめる。そんな時間と場所になればと願っています。

グリーフタイムの過ごし方

まずパンフレットをお渡しします。そこにグリーフタイムの進め方を記載していますので、ご自身のペースで進めていただけます。内容は大きく2つあり、グリーフカラーを行ってから、複数あるワークを選んでいただき、実施となります。
ワークの内容についてはスタッフが説明し、その日にどういったワークを実施するか話し合うこともできます。ワークを実施せず、自分の好きなようにお過ごしいただいても構いません。
ワークメニューは、紙を用いて喪失の前後を表現するものや、紙粘土でリラックスできる場所や空間を表現するもの。大切な人やモノ、または自分自身へのプレゼントを作ったり、手紙を書いたりすることができます。もしよろしければ、写真や手紙、大切な人にまつわるモノなど、大切な人との“思い出”をお持ちください。材料や道具は会場に用意してあります。

お帰りいただく際は、お好きなタイミングで構いません。パンフレットの最後につけてある、グリーフの小冊子をお持ち帰りください。会場には本なども用意していますので、終了時刻まではゆっくりとお過ごしいただければと思います。最後30分は、あたたかいお茶のご用意いたしますので、思いをはせたあとにほっこりしていただければと思います。
またご無理がなければ、『共有ノート』に感想などをつづっていただけると幸いです。

失った大切な人やモノのことや、失ったことによる自分の人生について思いを巡らせながら、ゆっくりと過ごす時間と場所。一人で過ごす、失った大切な人とあなたのための時間です。

今年度は毎月開催しております。次回は8月8日(土)です。
どうぞ心が向きましたら、ふらりとお越しください。

グリーフタイムホームページ:http://grieftime.jimdo.com/

参考までに

【通常のグリーフ反応】

感情面/悲しみ、怒り、罪悪感と自責、不安、孤独感、疲労感、無力感、ショック、思慕、解放感、安堵感、感情鈍麻

身体的感覚面/腹部の空虚感、胸部の圧迫感、喉の緊張感、音への過敏、離人感(道を歩いていても、まわりのものが自分を含めて現実と感じられない)、息切れ、筋力の弱さ、エネルギー・元気が感じられない、口の渇き

認知面/信じない、混乱、頭がいっぱいで気を取られている状態、故人の実在感、幻覚

行動面/睡眠障害、食欲異常、ぼんやりした行動、社会的引きこり、故人の夢、故人を思い出させるものの回避、探索と叫び、ため息、落ち着きのない過剰行動、泣くこと、故人を思い出す場所の訪問や品物の携帯、故人の持ち物を大切にする

(出典:J.W. ウォーデン 著(1993/4)『グリーフカウンセリング―悲しみを癒すためのハンドブック)川島書店)

【アルフォンス・デーケンの12の段階】

アルフォンス・デーケン
1932年ドイツ生まれ。ドイツオルデンブルク生まれのイエズス会司祭、哲学者。上智大学名誉教授。専門は、死生学。日本で初めて「死への準備教育」の必要性を提唱した人物。

デーケンは、グリーフワークのプロセスを12の段階に分類し、 「この辛い12の段階を誰かが代わって行うことはできない、自分の中で時間をかけて消化するより仕方がない 」と説いています。 この12の階段はその内容は個人差があり、順番に経験することもあれば入れ替わることも同時に経験することも そして、順番を飛び越えることもあります。

1段階:精神的打撃と麻痺状態
愛する人の死という衝撃によって、一時的に現実感覚が麻痺状態になる。 心身のショックを少しでも和らげようとする本能的な働き、 つまり、防衛規制。

2段階:否認
感情、理性ともに相手の死という事実を否定する。

3段階:パニック
身近な死に直面した恐怖による極度のパニックを起こす。

4段階:怒りと不当感
不当な苦しみを負わされたという感情から、強い怒りを感じる。 「私だけがなぜ?」「神様はなぜ、ひどい運命を科すの?」

5段階:敵意とルサンチマン(妬み)
周囲の人々や個人に対して、敵意という形で、やり場のない感情をぶつける

6段階:罪意識
悲嘆の行為を代表する反応で、過去の行いを悔やみ自分を責める

7段階:空想形成
幻想―空想の中で、故人がまだ生きているかのように思い込み、実生活でもそのように振る舞う

8段階:孤独感と抑鬱
健全な悲嘆のプロセスの一部分、早く乗り越えようとする努力と周囲の援助が重要

9段階:精神的混乱とアパシー(無関心)
日々の生活目標を見失った空虚さから、どうしていいかわからなくなる

10段階:あきらめ、受容
自分の置かれた状況を「明らか」にみつめ、現実に勇気を持って直面しようとする

11段階:新しい希望、ユーモアと笑いの再発見
ユーモアと笑いは健康的な生活に欠かせない要素で、その復活は、悲嘆プロセスを乗り切りつつあるしるし

12段階:立ち直りの段階、新しいアイデンティティの誕生
以前の自分に戻るのではなく、苦悩に満ちた悲嘆のプロセスを経て、より成熟した人格者として生まれ変わる

(出典:Wikipedia―アルフォンス・デーケン
引用:『愛する人を失ったあなたへ・・・グリーフケアAsgate』http://grief.7iro.org/index.html)