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【開催報告】特別探究TIME『演劇ワークショップ』を開催しました

アフタースクールvivid!と協働!子どもの演劇「ワークショップ」を振り返る①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそびの精舎」構想内にある、子どもたちの教育機関「STEAM型アフタースクールvivid!」と應典院との協働で行った拡大企画「特別探究TIME」として、夏と秋に演劇ワークショップを開催しました。子どもたちの心身を伸びやかに開放するため、表現することを好きと思ってもらえることを狙いに、探究パートナーの有北雅彦さんを中心に行ったワークをふりかえってみます。

被り物と衣装の魔力

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは部屋に入って、目についた被り物と衣装の数々。そう、子どもたちは「なりきり遊び」いわゆる「ごっこあそび」が大好き。わき目もふらず、どんな衣装があるか、どんな被り物があるか、全部をチェックしている姿が微笑ましいこと。そう、知っているもの、当然日常にある小道具をくまなく見ていたこの時間こそ、子どもたちが日常から非日常にスイッチを切り替えられるような時間でした。「なりきること」への入り口の時間として、「異化」とも言われるような時間が流れていました。すべてのものを触り、触覚・視覚・聴覚などで「奇異」なものと再認識する作業だったように思います。後半でお話をつくるための、所謂ヒントや伏線をここで得ているような時間にもなりました。

※異化とは、日常生活において慣れ親しんだ「当然」であることについて、あえて非日常的な「奇異」なものとして再認識し、表現することです。簡単にいえば、当たり前だと思っていたことを、当たり前でなくすることです。言語学者であり、作家であるヴィクトル・シクロフスキーが提唱したと言われています。

そろそろ、全て一式を見通したところで、有北さんからのコミュニケーションを深めるためのボールあそびを。探究パートナーの福永さん、中嶋さんも入っての迫力あるゲームに。みんな大きなボールを相手に届ける、投げることに必死。実は子ども同士のコミュニケーションの原型にあるのは「ボール」を受け止める、「ボール」を投げることにあるのではないか、と思っていた通り、子どもたちは相手へ向かって、一生懸命に目線で「伝えるように」ボールを投げます。

既にこの時点で瀧のような汗をかく子どもたちでしたが、ともかく楽しそう。全力で遊べるって本当にすごいことだと。

 

 

 

 

 

 

 

ここまでがいわゆる「アイスブレイク」の時間ですが、時間をかけて行うことで、アイスが解けて、ドロドロになるくらい!!の関係性になりました。

こどものモヤモヤした話を徹底的に聞き取る時間

そのあと、みんなで座っての対話の時間。この時間には探究パートナーの菱田さんと留学生も参加。みなさんに最近モヤモヤしたことない?どんな時にモヤモヤした??と聞き取る有北さん。ホワイトボードにどんんどん書いていきます。他者の意見、特におとなの意見にもおなかを抱えて笑ったり、真面目に考えたり、とても集中した時間でした。

・電車のベビーカースペースを譲ってくれない

・大きな袋のポテトチップスをあけたらちょっとしか入ってない。それなのにお父さんが全部食べちゃった。

・ごみを捨てろというくせに、自分では捨てない。

・部屋の隅をかたずけない

・日本語が良く分からない(留学生)

・忘れ物をしてしまう

などなど。

 

きっとみなさんも共感するようなモヤモヤもありますよね…。

これらのモヤモヤををモチーフに、コント(演劇)にして発表するという取組み。こうしたら?と様々なアイデアで満ち溢れた相談の時間。子どもたちの続々と出てくるアイデアが面白いこと、面白いこと。学校や普通の教育の場では、これほど子どもたちが主となって意見を出すような場面は皆無ではないでしょうか?立派なプロットのあるお話となりました。最後、どんな作品となったかと言うと‥‥。

 

宇宙人(日本語が分からない)親子が宇宙船が壊れて地球に着陸。おなかが減ったお母さんと息子は優しい定員さんのいるコンビニにお買い物を。

せっかく買った食べ物をお父さんがすべて食べてしまい、お母さんは大泣き。もう一度優しい定員さんのいるコンビニへ買い物に。

宇宙人のお母さんのとても好きなものを買ってきてくれて、お母さんは大喜びでした。めでたしめでたし。

というようなお話でした。事前に台詞を書いたわけでも、台詞合わせをしたわけでもなく、全てが即興芝居。二回演じましたが、その時々に子どもたちの表出する言葉や演技が異なっていて、素晴らしい仕上がりでした。

 

 

 

 

 

 

 

小道具や演技エリアの場所・演出なども全て子どもたちが手掛けた作品に。すべてに子どもたちが主体的に、全てに決定権があることで、子どもたちは大満足。

最後には、「もっとやりたい~」「終わりたくない~」と、とても素敵な演劇ワークショップになりました。

秋にも続くこのシリーズ、また、継続してご報告します。

(文責:齋藤佳津子)

人物(五十音順)

有北雅彦
(作家・翻訳家・俳優)
齋藤佳津子
(應典院主査・学校法人蓮光学園 パドマ幼稚園・事業センター 主査)