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9月30日 コミュニティ・シネマvol.17 「幸せの経済学」上映会

9月30日(金)に應典院コミュニティ・シネマvol.17「幸せの経済学」上映会、参加型開発研究所の中田豊一さんと應典院寺町倶楽部事務局長山口による対談を実施いたしました。当日は70名強の参加者の方々にお越しいただき、大変盛況な会となりました。
映画の中では、グローバリゼーションのもたらす脅威が一つずつ提示されると同時に、地域コミュニティを重視したローカリゼーションの必要性が強調されていました。規制緩和による多国籍企業の進出は、農業やクラフトワークを基盤とする地域社会に、過度の競争と対立そしてそこから生まれる不安をもたらします。それは、映画でとりあげられていたインドラダックにも顕著に現れているとヘレナ・ノーバーグ=ホッジ監督は訴えます。
しかし他方で、便利で目新しく、高性能なプロダクトに目をやってしまうのが人間の性。この矛盾に直面した観客のモヤモヤ感に対して、この映画は、「ただやみくもに資本主義社会や国際貿易を否定するのではなく、地域の需要を最優先させること」というメッセージを提示します。ノーバーグ=ホッジ監督はドキュメント全体を通して「決して土に根ざした生き方が原始的なのではなく、盲目的に先進国のまねをする必要はない」という教訓を投げかけるのでした。

後半の対談では、「ポスト3.11から『本当の幸せ』を考える」というテーマでトークが展開されました。とりわけ、長年途上国支援に携わってこられた中田さんが、「途上国の人が圧倒的に弱いのは家計の計算。他方、先進国の人間はお金の計算ばかりして何が幸せなのかという見方もある。(中略)グローバリゼーションとは、現金収入と支出を明確に把握できなければ苦しい生活に追いやられていくことなのです。」と説かれていたのが印象的でした。
会場からは、中田さんがジンバブエの研修生を釜ヶ崎にご案内された際のエピソードをお話になられたのに対して、「日雇い労働者がいいように使われていてお金がないという似たシチュエーションだが、映画の中では自分たちでどうにかしようという気運を感じた。他方釜ヶ崎では、一方的に外の人間がまちづくりをしている印象がある。」というご意見等がありました。