バウルの唄

インド音楽といえば、シタールやタブラなどきらびやかな古典音楽をイメージされる方が多いと思います。宮廷の音楽として発展してきた古典音楽に対して、バウルは農村に暮らす人々に愛され受け継がれてきたインドを代表する民俗音楽です。竹やひょうたんで作った素朴な楽器を奏で、泥をこねた素焼きの太鼓を叩き、鈴をくくりつけた両足で大地を踏みしめ踊り、リズムの波に乗り情感深く唄います。

バウルはベンガルの農村に浸透した信仰と音楽に基礎をおきながら、カーストや宗教、宗派の違いを否定し、すべての人の内に神性を観るユニークな神秘哲学を発展させました。インド亜大陸東端に位置し、インド、ビルマ、チベットに通じ、古来より交通の要所であったベンガルの地は、様々な文化が融合、収斂していく場でもありました、バウルには、仏教、ヒンドゥータントリズム、イスラムのスーフィーズムなどさまざまな影響を見ることができます。一説によれば、イスラム教徒の迫害から逃れるため、仏教修行者がヒンドゥー教徒を装いながら修行を行っていたとも言われ、バウルの起源を後期密教ともしています。特定の寺院や経典、組織などを一切持たない彼らは、形式・儀式・規則などにこだわらず、知識に偏ることもありません。旅をしながら村祭りを巡るなど、唄うことによる托鉢で生き、一般の人々と人生を共にすることで、世俗の中にありながらも世俗を捨て、気楽さと喜びの中に真実を見ようと自然に生きることを大切にしています。

詩聖タゴールがラロン・フォキールという有名なバウルと親交を深め、彼の詩がバウルの唄に深く影響されるようになり、ベンガルの知識人たちもバウルに興味を持つようになったということですが、最近でも社会の急激な変化により、既存の宗教やコミュニティが壊れ始めた都会に住む知識階層の若者たちが、バウルを自分たちのアイデンティティとして再発見する、というようなことが起こり始めています。

バウルは神の棲む身体を神聖なる寺院とみなし、浄化の行に励み、"内なる神"を愛し唄います。そんなユニークなバウルの唄の世界を、ぜひ日本のみなさまにも紹介したいと思っています。唄はベンガル語で唄われますが、数見真紀さんの語りが、自然にバウルの世界へ誘導してくれますので、言葉の意味はわからなくても、充分に楽しんでいただけると思います。

開催日

2010年9月22日

出演

かずみ まき、サドン・ボイラギ、ナラヤン・チャンドラ・オディカリ、ディン・ドヤール・ダス、シュクマール・マリック

場所

應典院本堂ホール

料金

2500円

お申し込み

以下の問い合わせ先まで。

お問い合わせ

baul2010@yahoo. co.jp
080-3595-0281 シミズ
090-5097-1086 フクべ

主催・協力等

主催 バウルメーラ世話人の会