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2020/2/19 應典院寺務局:お寺で終活×演劇ワークショップ~おとむらいシアター~

「劇場型寺院」としてこれまで親しまれてきました、浄土宗應典院。本堂では数多くの演劇作品が上演され、沢山のお客様がお越しになります。

一方で、昨年4月の「おてら終活花まつり」にて開催されました『おとむらいシアター』など、演劇の仕組みを活かした体験型の演劇ワークショップの取り組みも、應典院主催でおこなわれています。

今回は、過去のいくつかの催しをとりあげつつ、今年4月にも開催されます『おとむらいシアター』について、ご紹介します。


例えば、一昨年のコモンズフェスタ2018では、寺務局主催企画として、シニア世代向けの演劇体験の場を開きました。

2018/1/17 ~イキイキ!シニア向け演劇体験~「からだ」と「こえ」で、「みんな」を感じよう

「からだ」と「こえ」で「みんな」を感じよう、とテーマを掲げたこのワークショップでは、他の人と一緒に声を出してみたり、簡単な身体を動かすワークを輪になってやってみたりすることで気づく、「自分の変化」を大切にしました。

日常で無意識におこなう動作、例えば誰かに話しかける、誰かの話を聞く、ということも、距離感を変えてみるとどう感じるか?すごく笑顔で、あるいはすごくめんどくさそうにすると、お互いどう感じるか?側にいる人からはどう見えるか?そのように、ひとりではなく「他者」を通して気づく「自分」という存在の様々な要素について、感想をお喋りしながらおこなう、緩やかな演劇ワークショップでした。

発声や、ストレッチや、簡単なゲームに、短い台詞のやり取り。使った仕組みやワークはまさに「俳優が演劇の稽古ですること」なのですが、それらは決して「舞台上での演技力がついたぞ!」というようなことが目的なのではなく、むしろ演劇的な視点を持つことは「日常で、誰しもがおこなっている振る舞いや、生活そのもの」に活きる「気づき」を得ることに繋がるということを、実感する機会となりました。

シニア世代向け、の催しをおこなった一方で、應典院寺務局では定期的に、お隣のパドマ幼稚園の小学部、蓮塾の子どもたちを対象にした演劇ワークショップをおこなっています。

10月キュリオ 音楽鑑賞・演劇ワークショップ【後編】

蓮塾Curio Kids Program~6月 演劇ワークショップ~

音を聴いて、そこから何をイメージするか。そしてイメージしたものをどのように自分たちで表現するか。はたまた、桃太郎の物語を50人近くで表現したり、大好きな先生がおじいちゃんになった、自分も大人になったとして、自分の言葉でお喋りしたり。

子どもたちが元気いっぱいなのもあり、身体も動かしつつ沢山のワークを毎回おこないますが、キーワードとしているのは「想像力」です。

派手な衣装や舞台効果が無くても、自分の役と相手の役が想像していることを共有すれば、またそれを観ているお客さんにも共有できれば(お客さんとして観る立場の人は、役を演じている人や観ている光景がどのようなものか想像してみることで)、立派な「演劇」として楽しいものになること。

また、現実とは異なる状況の設定でも、相手や自分の立場を想像して、その想像に乗っかって、用意された台詞ではなく、自分の言葉で話してみる(これは、いわゆる「即興」の演技と言うこともできるので、大人でも難しかったりするのですが…)。

子どもならではの柔軟な想像力を駆使して、能動的に楽しみながら「演劇」に触れる機会を心がけています。

そして、2018年から始まった「おてら終活プロジェクト」における、應典院らしい演劇と絡めた取り組みが『おとむらいシアター』です。

2019/4/7 陸奥賢:おてら終活 花まつり「おとむらいシアター」に参加して

具体的にどのような内容か、というのは上の開催報告に詳しいので、ぜひご一読ください。

開催報告にも書かれています通り、想定していた以上の「緊張感」が場に生まれたのが印象的でした。

2019/4/7 住職コラム:フィクションはリアルを超える。おとむらいシアター。

「緊張感」というのは、気まずいとかしんどいとか暗いとか怖いとか、そういったものではなく、ある種の「メリハリ」のような空気感です(実際、終了後の納棺体験では皆笑顔で、どことなくスッキリした様子でした)。全員で設定を決めて、一つの場、いとなみを想像し、共有しているがゆえの統一感や没入感、と言うとわかりやすいかもしれません。

そうして場を共有することで、終了後にはどこか安心した雰囲気が漂っていました。確かに、貴重な時間を「体験」したのだと思います。

應典院ならではの、本堂でお坊さんが参加する、「お葬式」を擬似体験する演劇ワークショップ。これまでとりあげてきたワークショップがそうであったように、「他者」がいるなかで「自分」の振る舞いに影響を受け、「想像力」をはたらかせてまた「他者」を想う、悼むということがおこなわれます。

2回目となる4月11日の開催では、前回の反省も活かしながら、沈みすぎることのないよう、検討中です。

「終活」と「演劇」を掛け合わせた、應典院ならではの演劇ワークショップ『おとむらいシアター』。ぜひ、一緒に架空のお葬式を体験してみましょう。

伝説の終活ワークショップ&納棺体験が帰ってきた!
おとむらいシアター
~いいお葬式のつくり方~

参加者みんなで、「お葬式」をつくってみましょう。
架空の故人がどんな人で、自分とはどんな関わりがあったか。
家族や友人の悲しみは。
死者を悼む場としてのお葬式を、演劇的な手法で作り上げます。
納棺体験あり。(要申込・先着20名程度)

<日時>
4月11日(土)11:00~12:30

<会場>
應典院 本堂

<参加費>
一般 1000円
ともいきの会会員 500円
應典院寺町倶楽部会員 500円

<講師>
沖田都(俳優・應典院職員)、繁澤邦明(劇作家・演出家・應典院職員)

お申込は、以下ページより。

2020/3/28~4/11 おてら終活 花まつり を開催します!

 

 

人物(五十音順)

沖田都
(應典院職員)
繁澤邦明
(浄土宗應典院職員/俳優・劇作家・演出家)