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5/12-6/26 戒田竜治:「應典院舞台芸術大祭space×drama○」を開催いたしました。

関連企画から含めますと、2016年12月より開催してまいりました「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」が、去る6月26日(月)の『大クロージングトーク』をもちましてメインプログラムを終えました。その開催報告を「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」実行委員長、戒田竜治(満月動物園 / 應典院寺町倶楽部執行部役員)が綴ります。

スペースドラマの集大成

2003年より應典院にて開催されてきた演劇祭『應典院舞台芸術祭space×drama(スペースドラマ)』が、昨年2016年に現行形態での開催にピリオドを打ちました。スペースドラマは若手劇団支援の演劇祭として14年間に渡って應典院寺町倶楽部の主催事業として開催されてきましたが、応募団体数の減少など状況の変化に合わせて、次の形を模索する必要があるのではないかという見地から、2016年でいったん終了との判断が寺町倶楽部内で長く担当されてきた西島会長を中心に下されました。

スペースドラマの特長として、参加劇団のうち1劇団と翌年のスペースドラマにて「三者協働プロデュース公演」を行うことがあります。三者とは、主催者である應典院寺町倶楽部・会場であるシアトリカル應典院・選出された三者を指します。正式名称は「三者協働プロデュース劇団」、通称「優秀劇団」と呼ばれる劇団を14年間の間に15劇団輩出して参りました(2011年に2劇団を選出)。

ここで問題となりましたのが、2016年に選出された優秀劇団である「遊劇舞台二月病」の三者協働プロデュース公演をどのような形態で行うかということです。最後の優秀劇団に対して単独公演での開催は忍びないのではないか、などの議論が事務局内で交わされる中で、過去の優秀劇団に声をかけて集大成的なスペースドラマを開催し、その中に三者協働プロデュース公演を加えることで「翌年の演劇祭で」という形を最後まで守るという企図から最後のスペースドラマの開催が決まりました。

実行委員会を組織し運営の主体に

西島会長と事務局の事前調整によって、過去の優秀劇団選出劇団による上演6団体、5月~6月の開催という大枠が決まり、2016年9月に最初の実行委員会が開催されました。これまでのスペースドラマのもうひとつの特長として「制作者会議」を開催し、どんな演劇祭にするのか参加劇団が意見を出し合ってつくり上げていくというものがありました。演劇祭の企画内容を参加劇団に委ねるという形は、他の劇場では類を見ないものでもありました。

ですが、今回の「最後のスペースドラマ」にあたっては、ちょうど再建20周年を目前に控え、『應典院寺町倶楽部の民主化』を命題に「新運営検討会議」も同時進行で開かれている時期にあたり、『民主化』のテストケースとして実行委員会形式での開催となりました。上演6団体に加えて、これまで14年間の参加劇団から実行委員を募り、企画を立案し実行する「汗をかく」メンバーによる実行委員会が應典院寺町倶楽部と共に主催する形態となりました。

上演6団体の中では一番の古株(2003年より参加)で、「新運営検討会議」のメンバーでもありました、私、戒田竜治が西島会長より実行委員長に指名され、実行委員会はスタートを切りました。ただ、実行委員長になんらかの決裁権があるわけではなく、あくまでも実行委員間の関係はフラットで議事進行を取り仕切る議長のような役割でありました。

また、これまでのスペースドラマで中心的な役割を果たして来られた西島会長は実行委員には入らず、オブザーバー的な立場で参加されたことも、これからの應典院寺町倶楽部について、継承ということを念頭に置かれた西島会長の思い現れた特徴でもありました。

実行委員から提起された企画は「69」案

実行委員会は始まりましたものの、「最後のスペースドラマ」の正式名称がまだ決まっておらず、実行委員が案を持ち寄り討議の上で「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」と決まりました。名称の決定さえも実行委員に委ねられる形は、これまでの應典院寺町倶楽部の主催事業には見られなかったものであったと思います。

話は前後するのですが、これまでの優秀劇団の選考にあたっては作品性よりも、次年度の三者協働プロデュース公演も含めて、應典院寺町倶楽部のパートナーになってくれるのかという点に力点が置かれて参りました。そのため、前述の「制作者会議」における取り組み姿勢や貢献度なども選考の大きなポイントでした。

そのような点も評価されての優秀劇団だけが集まった実行委員会で、「やりたい企画を出し合いましょう」という呼びかけに対して、10月の第2回の実行委員会では実に69もの企画案が集まりました。どれも魅力的な企画案で無下にできるものは一つもありませんでした。

実行委員会は飽くまでもボランティアであり、自分の仕事は持っておりさらに演劇活動もしているという人たちの集まりであり月1回の開催が限界で、69の企画案についてこのスケジュールで討議し実行していくという、実行委員会が実質的にスタートを切ったのです。

すべての企画案は必ず討議する

実行委員会形式は関係はあくまでもフラットであり、討議を経ない企画案があってはいけないと考えた月1回の議事進行は、まさに分刻みの駆け足でしたが、議論の中で企画案は整理統合されていき、徐々に企画ごとの担当も決まっていき、翌2017年2月20日に送付したプレスリリースには、6つの演劇公演も含んだ14の企画案を記載することが出来ました。

それでもなお、プレスリリースに記載しない企画案の討議が続いている状態ではありましたが、3月には概ね「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」の骨格が定まりました。その企画ラインナップは、単に演劇公演だけを連ねた演劇祭の枠を大きく超えるもので、事務局と協働しながら実行委員が実行する主体となって、ひとつひとつの企画を開催することができたことは、これまでの事務局が主体であった應典院寺町倶楽部の事業とは異なる形態での開催であり、特筆すべきことではないかと思います。

とは言え、演劇公演が演劇祭のメインとなることは間違いなく、これが5月より開始いたします。3月頃となりますと各劇団が作品の製作期間(稽古期間)に入って参りますので、それまでに企画案を定め「あとは、やるだけ」という状態に持って行くことが出来て安堵いたしました。そのために、かなり駆け足な議事進行となってはしまいましたが、「なんとなく立ち消えた企画」を出来るだけ少なく出来たのではないかと思います。(振り返ると、少し取りこぼしがありました)

スペースドラマ14年の歴史を様々に残す

ここで開催された全ての企画を詳述することはいたしませんが、特筆するものとしては、既に開催報告が公開されているシアトリカルフォーラム 戯曲×恋愛『愛情マニア』『縁劇フェス』なども、「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」の一環として企画・実行されたものです。これらの企画もまた、実行委員から発案があり実行主体となって開催されました。

また、「アワーエイジ・アワーステイジ」と題したWEB配信鼎談企画は、2016年12月よりテスト配信を含めて12回に渡って様々な方々に様々な角度からスペースドラマについて語っていただいたものとしてYoutube上にアーカイブされています。(http://wa.spacedrama.jp/topics/ourage-ourstage/20170112760/)

リレーブログ企画では、参加してきた劇団関係者が綴った「私とスペドラ」に42名から寄稿していただき、主催してきた應典院寺町倶楽部の【中の人】として西島会長・元事務局城田邦生・事務局森山博仁が開催年ごとにリレーで綴った「アーカイブ×スペドラ」が14年分。スペドラ14年の歴史の合計56の「証言」をアーカイブすることができました。(http://wa.spacedrama.jp/topics/category/relay/)

12の鼎談動画と56の文章とのアーカイブで、スペースドラマ14年間を様々な立場から振り返り、また残すことが出来たことは、今後應典院に限らず演劇祭などを企画される方にとっても、参加者・運営者それぞれが「何に悩み、何を得て、何を成し遂げ、何を成し遂げられなかったのか」という貴重な証言録となっているものと思います。

なお、開催されたひとつひとつの企画や公演については、「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」公式サイトにて詳細をご確認いただけます。(http://wa.spacedrama.jp/)

「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」を終えてみて

本祭は6/26(月)の「大クロージングトーク」をもって終わったにも関わらず、さらに「space×drama○ アンコール」と冠した演劇公演が7月に開催されます。

とは言え「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」を終えてみて、やはりその特色は実行委員会形式にありました。企画・発案するだけではなく、実行まで担うメンバーが主体的に開催するという形態は、今後の應典院寺町倶楽部の活動の指針のひとつとなっていくのではないかと思います。

実行委員会形式をとることで、様々な意見や着想を取り入れることが出来たことはひとつ大きな成果であったのではないかと思います。反面、それらに対してもう少し討議する時間をとれれば良かったという気づきもありました。本祭である演劇公演が5月スタートに対して前年9月が第1回の会議で8ヶ月間ありましたが、専業の事務局が実行主体なのではなく、ボランティアベースの実行委員会が主体となった場合に、もう少し時間が欲しかったという思いも残ります。ただし、それだけ活発に企画案が提起されたということでもあります。

これまでもコモンズフェスタなどでは「企画委員会」形式はとられてきました。ですが今回の「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」での「実行委員会」形式は今後の應典院寺町倶楽部の活動のあり方について様々に刺激を残すものとなったのではないかと考えています。

戒田竜治

 

「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」開催企画全ラインナップ

space×drama ○ 6つの演劇公演ラインナップ

【5月12日(金)~6月25日(日)】

◆5月12日(金)~14日(日)

無名劇団 (2015年優秀劇団)

◆5月18日(木)~22日(月)

匿名劇壇 (2013年優秀劇団)

◆5月26日(金)~29日(月)

コトリ会議 (2010年優秀劇団)

◆6月9日(金)~11日(日)

満月動物園 (2004年優秀劇団)×脚本:丸尾丸一郎 (劇団鹿殺し[2003年優秀劇団])

◆6月17日(土)~19日(月)

May (2011年優秀劇団)

◆6月23日(金)~25日(日)

遊劇舞台二月病 (2016年優秀劇団)

space×drama ○ 8つの関連企画ラインナップ

◆まったく新しいカタチの演劇×フォーラム~

シアトリカルフォーラム 戯曲×恋愛『愛情マニア』

◆12のWS&イベント 演劇で日常をちょっと豊かに~

space×drama○ フリンジ企画『ばぐといっしょ』

◆6つの演劇×6つの体験型イベント~

一日楽しめるアートフェスティバルイベント『縁劇フェス』

◆世代を超えて熱く語りあう~

連続10回鼎談トークWEB配信『アワーエイジ・アワーステイジ』

◆老舗U-st番組SP水曜劇場を3か月に渡ってジャック!~

『S×D・SP水曜劇場』

◆出場劇団を迎えて、公演をリレーしてspace×dramaを語り直す~

『リレーアフタートーク』

◆過去15の優秀劇団そろい踏み~

『大クロージングトーク』

◆space×dramaは鳴りやまない!~

space×drama○ アンコール公演『MicroToMacro』(2011年優秀劇団)

そのほかの開催企画

◆トークイベント「寺で演劇祭~space×drama15年~」

◆共通パス販売

◆『S×D→30×30』 無名劇団・満月動物園

◆ジャムコントvsスペドラ!

◆当たり付き共通チラシ配布

◆リレーブログ(「私とスペドラ」「アーカイブ×スペドラ」)

◆スペドラ名物!ホットドック販売

◆スペドラ過去の全公演チラシ展示

◆スペドラ過去の「チラシ探してます!!」

◆劇評・感想ブログ

◆マスコットキャラ・オシャカスキーの稽古場探訪

◆オシャカスキー ロシアに帰る!! リレー小説連載・配布

◆オシャカスキーただのスタンプ 無料ダウンロード

※各公演・企画の詳細は「應典院舞台芸術大祭space×drama○(わ)」公式サイトにてhttp://wa.spacedrama.jp/

人物(五十音順)

戒田竜治
(演出家・脚本家 / 満月動物園主宰)